『明日に疲れを持ち越さないプロフェッショナルの仕事術』(著:渡部卓)より
プレッシャーに打ち勝とう!
成果主義によるプレッシャーには、どう対応すればよいのでしょうか。
実は、外資系企業だって70点主義で大丈夫なんです。
最も大事なのは、成果主義という幻影に惑わされないことです。
成果主義と言いつつ、評価する側も絶対的な基準を持ち合わせているわけではないのです。
成果主義が進んでいると言われている米国の企業において、常に満点を目指しているような人は、自滅したり、潰されたりすることがあります。
『明日に疲れを持ち越さないプロフェッショナルの仕事術』の著者、渡部卓さんは、ペプシやシスコ、モービルといった外資系企業に勤めていた23歳からの22年間で一度も給料が下がったことがなかったそうです。
ですが、特に秀でた結果を残してきたわけではなく、100の目標に対して、大体65~80点ぐらいで過ごしてきたという実感があるそうです。
結果に対してシビアだと言われる外資系企業でも、70点を取っていれば、給料は下がることはないというのを実感したそうです。
渡部さんの体験からの外資系企業に対する評価は、「意外に社員に優しい」というものです。
これは言葉を変えると、業績を上げさせるための仕組みがしっかりしているということです。
営利企業ですから、理由もなく優しいわけがないのですが、仕組みがしっかりしている部分が、社員から見ると面倒見がよくて優しく映るわけです。仕組みがしっかりしているというのは、とりもなおさず人事がしっかりしているということです。
日本とアメリカの人事部の違いとは?
渡部さんがコンサルをしていて感じたのは、日本の人事部は、頭はいいのでしょうけれども、保守的な人が多く、予算を守る事や、同業他社へ右へ倣えの姿勢が強く見られるということ。
アメリカの大企業では、給料などを管理する人事部長と人材開発部長は分かれています。
日本の人事部長は、給与や福利厚生といった労務や総務などの経費管理が主な仕事になっています。
アメリカの人事部長は管理マネジメントの専門家が多く、人材開発部は心理の修士や博士号を持っている人が多いようです。
人材開発的な部分で大きく後れを取っているのが日本の人事部の問題点だと、渡部さんは思っているそうです。
もうお亡くなりになりましたが、渡部さんとも個人的に親しかったウェザーニュースの創業者である石橋社長(当時)は、日本型の人事というものを非常に嫌っていて、社訓も「よく遊べ、もっと遊べ」だったとのこと。
働いている人間は人事マネジメントまで関われるわけではないですから、そうした枠組みを分かった上で、会社で生き残っていくために、自分の身を自分で守っていくような働き方が求められてくるのです。
心を軽くする「幸せのはひふへほ」とは?
経営者や熱血リーダーは,とことん頑張る、上昇志向が強い「執着気質タイプ」の人が多いのですが、自分に対して常にプレッシャーをかけています。
出世欲や上昇志向、責任感や完璧志向が強い人ほど、自分に対するハードルを上げるのですが、周囲にはストレスを感じていないように振る舞いがちで、ある日突然、心身がダウンすることが多いようです。
マネージャーとして成長するためには、自分のハードルを上げることは大切ですが、自分が折れてしまっては意味がありません。時にはハードルを下げて、抑圧から自分を解放することも必要です。
「ちょっとハードルを下げてみようかな」と感じた時、次の言葉を思い出すと心も軽くなると思います。
渡部さんが「幸せのはひふへほ」と呼んでいる言葉です。
は:半分がいい
ひ:人並がいい
ふ:普通がいい
へ:平凡がいい
ほ:ほどほどがいい
成果を求めすぎていると感じたら、半分でいい。
高い評価を求めすぎていると感じたら、人並がいい。
高い収入を求めすぎていると感じたら、普通がいい。
自己イメージを高く持ちすぎていると感じたら、平凡がいい。
頑張りすぎていると感じたら、ほどほどがいい。
自分に対するプレッシャーを必要以上にかけるのは、パフォーマンス的な観点から言っても逆効果です。
たいていの悩みは時間が解決してくれますよ
仕事に対するモチベーションには、波があることを理解しておいた方がよいでしょう。
使命感ややる気も常に一定の状態を保てるわけではありません。
理由がないのにモチベーションが下がったり、仕事への熱意が萎んでしまうのは実はよくあることで、そこでめげてしまわずに、今は波の底辺に来ているけれども時間が解決してくれるということを覚えておきましょう。
人間は一人では生きられなくて、家族や上司や同僚や地域の人々に支えられているのですが、仕事一辺倒になって思いつめてくると、そのあたりが見えなくなるのもまた事実です。
やる気がないときには、やる気がない自分を認める、悪く思わない、時間が解決してくれると考えるのです。
とくに環境の変化による疲れについては、時間が解決してくれる部分もあります。
人事異動や転勤などで、職場が変わると当初は疲れるものですが、日が経つうちにだんだん慣れてきて、それほど疲れを感じなくなります。
モチベーションを保つには?
人間は確かに変化には弱いのですが、「慣れる」という能力も持っているのです。
時間が解決してくれる(慣れれば問題なくなる)疲れなのか、そうでない疲れなのか、自分の今感じている疲れが、何から起因しているのか、知っておく必要があります。
「慣れる」という能力をうまく活用し、モチベーションを保ちましょう。
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