「はたらく人のコンディショニング事典」(著:岩崎一郎、松村和夏、渡部卓)より
イメージトレーニングは仕事にも有効
みなさんは、イメージトレーニングについてどのような印象を持っているでしょうか。
スポーツ選手がトレーニングで使うものという印象が強いかもしれませんが、イメー ジトレーニングはビジネスパーソンにとっても有効な手段です。
なりたい自分、乗り越えたい課題を思い描くことで夢を現実にする。
今回はそんなイメージトレーニングについてご紹介していきます。
イメージトレーニングの驚くべき効果
イメージするだけでそんなに変わるものなのか?と半信半疑の方も多いでしょう。
そこで、イメージトレーニングの効果を立証した、ハーバード大学のパスカル・レオーネ博士らの研究をご紹介しましょう。
まず、19〜42歳までの15人を次の3つのグループに分けます。
グループ1…ピアノを毎日2時間弾いて練習。
グループ2..ピアノの前に座って指が動かないように固定し、自分が弾いているように毎日2時間のイメージトレーニングを行う。
グループ3..何の練習もしない。
そして5日後、指が刻むリズムと動かす順番の正確さをもとにそれぞれのピアノの上達具合を測定してみました。
グループ1→3グループの中で最もピアノが上達した
グループ2→グループ1の練習3日目と同程度の上達がみられた
グループ3→全く上達せず
このように、イメージトレーニングのみを行ったグループ2は、実際にピアノを弾いてトレーニングをしたグループ1の3日目と同じくらい上達していたのです。
さらに測定後、グループ2に2時間のピアノ練習をしてもらうと、実際にピアノを弾いて5日間練習したのと同じ程度にピアノが弾けるようになりました。
ピアノを実際に弾いて練習したグループ1は、5日間で合計10時間の練習をしていますが、イメージトレーニングだけのグループ2が実際にピアノを弾いて練習したのはたったの2時間。
グループ2はグループ1の約5分の1の練習時間でグループ1と同程度の成果を上げたのです。
イメー ジトレーニングの偉大さをおわかりいただけたでしょうか?
イメージのコツは「どのように」「どうして」
実際にはピアノを弾いていなくても、脳内部では、イメージするだけで指の動きを司る部位、感覚運動野が活性化しています。
またイメージトレーニングそのものに脳を活性化する効果があるので、これを活用しない手はありません。
ただし、それにはちょっとしたコツがあります。
具体的には、「どのようにそれを行うのか」を自分目線でアプローチし、これから行う仕事のプロセスを深く落とし込むのがいいでしょう。
ちなみに、スキルではなくやる気をアップさせたい場合には、「どうしてそれをやるのか」という視点で想像していくと効果的です。
場面によっ て上手く使い分けてみてください。
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