カラオケは心の活性度を上げる
カラオケはカタカナ表記で一見外国語のようにも見えますが、英語でも「Karaoke」と記載される、日本発祥の文化です。
初期のカラオケの機械は、バーなどに設置され、伴奏の音源とマイクで歌った音声を合わせて、小型のアンプから音が流れるようにしただけのシンプルなものでした。
しかし、カラオケの登場から半世紀以上たった現在、日本で「カラオケ」といえば、カラオケボックスで歌うスタイルが一般的です。大きなお店の中にカラオケが出来る小さめの部屋がたくさんあり、その中の一部屋を時間制で借り、友人や同僚など親しい人たちと歌いながら楽しい時間を過ごします。
この日本が育んだカラオケというカルチャーは、人とコミュニケーションして絆を深める場として一役買ってきました。
学生時代や新入社員時代に友人や同僚を行った思い出がある方も少なくないでしょう。
そんなカラオケですが、目的は周りとのコミュニェケーションだけではなく自分自身のストレス解消としても役割を果たしています。人前で大声を発したり、リズムに載って友人と楽しく歌うことで、終わった後はなんとなく心もスッキリとしているものですよね。
このストレス解消の効果が、更には心の活性度を上げるのにも有効である可能性があると研究でわかってきました。
おすすめは一人カラオケ
ストレスを解消させることで、心がリラックスしてアイデアやインスピレーションが得やすくなるのは感覚としてもなんとなくご理解いただけるのではないかと思いますが、とはいえ、人前で歌うことは人によってはストレスになる可能性もあります。
そんな方には、「1人カラオケ」がおすすめです。
観客がいることによる緊張がせっかくのストレス低減による良い効果を打ち消してしまうかもしれないためです。
ここで一つの研究をご紹介しましょう。
イギリスのロンドンにある王立音楽大学の研究者らは、15人のプロの歌手(歌手歴は平均21・1年)を対象に、観客の有無が歌手のストレスレベルや不安にどう影響するか、実験を行いました。
実験では、全員がはじめに「観客なし」の条件で歌い、次に、「観客あり」(610人)の条件で歌いました。いずれのケースでも、事前に唾液を採取して、その中に含まれるコルチゾールなどのストレスホルモンの分泌量を測定するとともに、質問紙で不安のレベルについても回答してもらいました。
その結果、「観客なし」の条件で歌った場合は、コルチゾールの分泌量が大きく減少する 一方で、「観客あり」の条件で歌った場合は、コルチゾールの分泌量が大きく増加しました。つまりストレスを感じていたということですね。
ちなみに、この結果は、プロの歌手としての経験年数とは無関係であり、また、質問紙を元にした不安レベルとコルチゾールの値は相関がありま せんでした。
つまり、経験豊富なプロの歌手といえども、大勢の観客を前にすると、本人 はあまり不安感を自覚していなくてもストレスを感じている可能性があることがわかりました。
逆を言うと、この研究から、1人で歌うことは、ストレスを低減する手段として有効であることが示唆されました。
たしかにどんなに歌が上手い人でも、その一曲が最高のパフォーマンスを発揮できるか、どのような評価をされるかに関しては不安を感じるものですし、周りの人の視線があるだけで、緊張してしまうものです。
つまり、ストレスを解消して活性度を上げる上で、「1人カラオケ」はとても有効な手段になりうるということですね。
クリエイティブな人たちの新しいワークスタイル
近年は働き方が多様化したため、クリエイティブな人たちは、新しいワークスタイルを常に模索する傾向があります。そして、近年増えているリモートワークに利用できるカラオケボックスはその候補になり得ます。
リモートワーク利用を打ち出しているカラオケボックスは、仕事環境としても快適ですので、集中して仕事をしてちょっと煮詰まってきたときに、「1人でちょっと1曲」などという利用法もありかもしれません。
それによって、思わぬアイデアやインスピレーションが得られる可能性もありますよ。