「忙しい人の世界一シンプルな「食」習慣」(著:杉本恵子)より
断食やデトックスはしたほうがいい?
1ヶ月飲み物しか口にしない「不食」という断食は特別なケースのものです
1ヶ月間、飲み物しか口にしない“不食”という断食をした俳優さんが話題になったことがあります。
不食の内容は、飲み物(水やお茶など)を除いて食べ物を口にしないということ。
不食をやってみようと思ったきっかけは、人は食べられなくても生きられるのかを自分の身体で試してみたかったことで、長年続けている海外への一人旅の際に、飲まず食わずで帰国することも多く、かえって体調が良くなっていると感じていたからだそうです。
この不食を実践した結果は、体重が減った、宿便が出た、食欲が無くなった、集中力が増した、睡眠が深くなったなどが報告されていますが、「けっして同じ真似はしないでください」とコメントされています。
1ヶ月間を無事に終えて、身体にとってよさそうなことを報告されているにも関わらず、「真似をしないように」というメッセージを残したのはなぜでしょう?
「忙しい人の世界一シンプルな「食」習慣」の著者である杉本恵子さんも、この件についてあるテレビ番組に出演した際に、『基本的には「特別な人が行った特別な例」であり、一般の人たちが安易に真似するのは危険だ』という内容でお話しされたそうです。
医師など専門家の指導なしで自己流での長期間断食はかなり危険!
この俳優さんは、医療機関で医師などの専門家の指導やサポートを受けながら行ったもので、自己流で1ヶ月もの長期間断食をしたわけではありません。
専門家に監視され、体調の管理を行ってもらいながら、実験のようなスタイルで行われたため、途中で不足している糖分や塩分の補給としてあめや塩あめは摂っていたとのこと。
本当に水だけで1ヶ月過ごしたわけではないのです。とはいえ、あめだけ摂っていたとはいえ、普段3食普通に食べることができる生活の中で、食べないで過ごすということは相当な覚悟がいることだったと思いますが。
それに俳優さんという特殊な職業であることも考えたほうがいいでしょう。
とはいえ、私たちも1ヶ月のうちに1回ぐらいは断食をして胃腸を休ませ、体内をリセットすることは悪いことではありません。
1ヶ月に1回ぐらいのプチ断食はおすすめ
週末の金曜日の夜からはじめて、土曜日と日曜日の昼ぐらいまでを飲み物だけで過ごし、日曜日の夜から重湯やお粥を食べて、月曜日の朝も軽めにして普段の食生活に戻すというやり方です。
これぐらいのプチ断食でも、やってみるといろいろな感覚が研ぎ澄まされるのです。変な表現ですが「ちゃんとお腹が空く」という感覚を取り戻すことができ、その後で食べるものがとっても美味しく感じられます。
本来のデトックス(毒素の排出)や断食には専門家の指導が必要ですが、それほど本格的なものでなくとも「身体を休ませる」という意味での軽めの断食は「あり」だと思います。
過食気味な現代の食生活では消化吸収機能を使いすぎている
基本的に過食気味な食生活をしている現代の身体は、普段から消化吸収機能を目一杯使っているので、それらの機能を少し休ませるわけです。
最初は「お腹が空いた」「早く何か食べたい」と考えてしまいますが、徐々に「空腹である状態」に慣れてきます。
すると、日頃はしなかったような思考をするようになり、人によってはこれまで決断できなかったことが決断できるようになる人もいます。
仕事をしながらのプチ断食はNG!エネルギー不足になります
ただし、仕事をしながらプチ断食をするのはNG。断食は頭も身体も両方休ませることに意味があるので、断食しながら仕事で頭を使ってしまうとエネルギー不足となり、よくありません。体調がすぐれないときもやらないほうが賢明です。
仕事では特に頭をよく使うと思いますが、脳は糖質しかエネルギーとして使わないため、炭水化物(糖質)を摂らないと、エネルギー不足となります。
本来なら筋肉をつくるために使われるタンパク質が分解されてしまい、筋肉不足で疲れやすい身体になってしまいます。
無理やり仕事で頭を使おうとしてもエネルギー不足の状態では、ぼーっとしまい話になりませんよね。
実行するとしたら、頭も十分に休むことができる環境が必要なので、休日などを利用して行うことをおすすめします。
自分の身体や健康に対する考え方や感じ方が変わるきっかけの一つ
もちろん、1回のプチ断食をやっただけで身体や健康状態が大きく変わるわけではありませんが、自分の身体と健康に対する考え方、感じ方が変わるいいきっかけの一つにはなります。
今まで普通だと思っていたけれど過食気味な食生活をしていたということに気付かされる人もいるかと思います。
身体と健康、食生活という健康というテーマは知識だけではわからないことがたくさんあります。こういった「経験」を通してわかることがあるというのも、ぜひ知っておいてほしいと思います。
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