満腹感を生み出すのはレプチンの活性化?
過度な食欲を制御できない原因のひとつとして、「レプチン」というホルモンの働きが活性化していないことが考えられます。
私たちの食欲は脳でコントロールされています。体のエネルギーが不足すれば、脳からの指令によって私たちは「おなかが空いた」と感じます。また、反対にエネルギーが十分に補給されれば「おなかがいっぱいだ」と感じます。この満腹感を生み出すのがレプチンなのです。
食欲をコントロールするホルモン「レプチン」の働きとは?
レプチンは、食事をすると脂肪組織から分泌されます。分泌されたレプチンは、脳の満腹中枢を刺激し、食欲を抑制します。またレプチンには、交感神経を優位に働かせて脂肪燃焼を促進する作用もあります。
つまり、レプチンを活性化させられれば、過度な食欲を抑えて、食べ過ぎや肥満を防げるということですね。
レプチンで食欲をしっかりコントロール!レプチンを活性化させる3つの方法
それでは、レプチンを活性化させるにはどうすればよいのでしょうか。レプチンを活性化させる3つの方法を紹介します。
①20分以上時間をかけて、よく噛んで食べる
まず、レプチンが満腹感を生み出すまでの時間について理解しましょう。レプチンが作用するのは、食事開始から約20分後といわれています。それまでは、満腹感を感じにくくなるのですね。そのため、食べ始めて20分以内に食事が終わるなどという早食いの人は、満腹を感じる前に、必要以上に食べ過ぎてしまうのです。
過度な食欲に困っている人は、まず、適量で満腹感を得られるようにしましょう。適量で満腹感を得るには、ゆっくり食べることが大切。また、食べるときには、よく噛むことを意識しましょう。「ひと口30回以上噛みなさい」という目安を聞いたことがあるかもしれませんね。最初はそこまでしっかり噛まなくてもよいでしょう。まずはひと口20回噛むことからスタートしてもかまいません。噛む回数を増やすことで、早食いを防げます。また、レプチンの分泌自体もよくなるといわれています。
逆に、あまり噛まずに食べられるそばなどの麺類、カレーやリゾットなどは食べ過ぎになりやすいので注意が必要です。
②睡眠をしっかりとる
実は、レプチンの分泌は、睡眠時間とも深いかかわりがあります。睡眠時間が短いと、レプチンの分泌量が減少することがさまざまな研究で明らかになっているのです。そればかりか、睡眠不足は「グレリン」という食欲を増進させるホルモンの分泌を増やしてしまうという研究結果が出ているのです。
アメリカのスタンフォード大学の研究では、睡眠時間が5時間の人は、8時間の人に比べてレプチンの量が15.5%減り、逆にグレリンの分泌は約15%増えたという結果が報告されています。つまり、睡眠不足になると、それだけ太りやすい体になってしまうということですね。
ただ、仕事が忙しい時期など、どうしても睡眠時間が短くなってしまうときもあるでしょう。そういうときは「自分は今、食欲が旺盛になっている時期だから」とまず意識することが大切です。歯ごたえのある食べ物を食べて早食いを防ぐなどして、うまく食欲をコントロールしましょう。
③体脂肪を減らして「負のスパイラル」から脱する
レプチンの効きは、体脂肪が増えると悪くなります。肥満になると、満腹を感じにくくなり、食べ過ぎによってさらに肥満になるという「負のスパイラル」に陥ってしまう可能性があるのです。
体脂肪率が高めの人――具体的には、男性なら22%以上、女性なら30%以上の人は、食事+有酸素運動で脂肪を積極的に燃やせればベスト。それが過度な食欲を抑えることにもつながります。まずはいつもより10分長く歩くこと、運動の時間を10分つくることから始めてみてください。
「よく噛む・よく眠る・よく動く」の生活で食欲をしっかりコントロール!
いかがでしたか?「よく噛んで食べる」「睡眠をしっかりとる」「短時間でも運動する時間をつくる」の3つが、食欲をコントロールするホルモン、レプチンを活性化させる鍵です。この3つを意識して、過度な食欲に悩まされない生活を送りたいですね。
「なぜあの人は、夜中にラーメン食べても太らないのか?」(著:道江美貴子)より
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