4週間で姿勢を矯正し、仕事で最高のパフォーマンスを発揮する。そのための方法を凝縮した書籍『超「姿勢」力』(クロスメディア・パブリッシング刊)が刊行された。肩こり・腰痛、太りやすくなる、集中力の低下、疲れ、ストレスetc…なぜ、姿勢が悪いだけでこんなにも多くの悪影響があるのか? 誰もが知っている最強の姿勢矯正ポーズ「◯◯◯◯」とは? 本書より、「姿勢にまつわる3つの勘違い」と、「姿勢矯正を始める前に知っておきたいほんとの話」をお届けする。
姿勢矯正を始める前に知っておきたいほんとの話
「自分は猫背だ」 「昔から姿勢が悪い」 「直せるものなら直したい」
この本を手にとってくれたあなたは、きっとこんなふうに自分の姿勢の悪さを自覚していることと思う。 しかし同時に、どこかで言い訳をしていないだろうか。
「なにも猫背で死ぬわけじゃないし」 「多少姿勢が悪くても正直支障はない」 「まあ、とりあえず今すぐ直さなくてもいいか」
……などなど。 猫背を自覚し、直したいと思っている人の大半が、じつはこうした「たかが姿勢」という意識を隠し持っている。
多くの人がどこかで姿勢を甘く見てしまうのは、「姿勢が悪いことで起こるデメリットを正しく理解していない」ことに起因する。姿勢の良し悪しでどれだけの差がつくのか、わかっているつもりでわかっていないのである。
姿勢が悪いということは、あなたが思っている以上にあなたの毎日、そして将来に多大なる損失を与える。よく自己啓発書の一節に「◯◯が変われば人生が変わる!」という類の記述があるが、姿勢にはまさしくそういったパワーが秘めてられている。仕事、お金、健康、夢、人脈……。姿勢をよくすれば、そういったものすべてにプラスの影響が現れるし、悪ければ逆にマイナスのスパイラルにはまっていく。
だから、「たかが姿勢」と思った時点で、それは事実上、あなたに伸びしろがなくなったことを意味している。こう思ってしまったら、いくらすばらしい改善方法があってもほとんど意味をなさない。思考停止しているも同然だ。
勘違いその1 「見た目の問題でしょ?」
「姿勢が悪いと損することは何ですか?」と聞かれて最初に思い浮かぶのは、おそらく「見た目」ではないだろうか? 背中を丸めて歩いている人と、シャンと背筋が伸びている人。どちらの見栄えがいいかは言うまでもない。「姿勢が悪いと見た目で損しますよ」と言われただけで、「よし、治そう!」と心から思えれば、猫背なんてとっくに治っているはずだ。
しかし、姿勢の悪さは見た目だけの問題ではない。なぜなら、猫背とは「体がゆがみ、本来のパフォーマンスを発揮できなくなっている状態」だからである。
最も顕著なのは肩甲骨。PC作業やスマホ操作が1日の大半を占める今、ビジネスパーソンの肩甲骨は在るべきポジションから大きく前にずれこみ、可動域が極端に狭まった状態で凝り固まっている。結果、体のゆがみが誘発されているのだ。
それでも一見、何の支障もなく過ごせているのは、ゆがんだことで失われた機能を、知らず知らずのうちに他の部分が補ってくれているから。 ゲームの「ジェンガ」を思い浮かべるとわかりやすいかもしれない。ジェンガは、ピースがひとつ抜かれて不安定になったとしても、なんとか他でバランスをとって均衡を保とうとする。しかし、もちろん長くは続かない。ちょっとした衝撃で崩れてしまう。 体がゆがむというのは、この感じに近い。デスクワークに代表される長時間の前傾姿勢など無理な体勢を続けると、体は順応しようとしてゆがむ。そしてそのゆがみは、筋肉の硬直や関節の狭化を促し、ジェンガが崩落するように様々な不調を引き起こす。
- 肩こり、腰痛
- 代謝が落ち、太りやすくなる
- 集中力が低下する
- 疲れやすくなる
- 冷え性、肌荒れ、顔のたるみ
- やる気や自信の喪失
- ストレスに弱い
ざっと挙げただけでも、このとおり。これが常態化すれば、次のような最悪のシナリオだってありえなくはない。
肩こり、腰痛は当たり前。やる気も集中力も軒並み低下し、仕事のパフォーマンスは下がる一方。出せる成果も出せなくなり、年収アップも見込めない。何をやっても疲れるし、最近太りやすくなった。 見た目の悪さが祟ってか、プライベートもパッとしない。自信もないし、気分も晴れない。
ちょっとしたことでイライラする。 ああ、こんなはずじゃなかったのに……。
たしかに、一時的には単に印象が悪くなるだけのことかもしれない。 しかし、長期的に見ると、それだけでは済まない現実があるということに気がつけるはずだ。
勘違いその2 「姿勢が悪いのは、筋肉と気合いが足りないからだ」
もちろん、その場しのぎで姿勢をよくすることはできる。前に出てプレゼンをする際、取引先との会合で……相手に悪い印象を与えたくないときには誰もが自然と背筋をピンっと伸ばす。
「一時的でも伸びればいいじゃないか」 「その気になれば姿勢なんてなんとでもなるさ」
読者の皆さんのなかには、こんなふうに何十年とごまかし続けてきた人もいるかもしれない。しかし、これでは気を抜けばすぐにもとに戻ってしまうし、長時間キープすることはできない。前述のとおり、体はどんどんゆがみ、可動域はどんどん狭まっていくばかりだ。
そしてこの考え方は「姿勢が悪いのは、気合いや、背筋を伸ばそうとする意識が 足りないからだ」という思い違いへとつながっていく。よい姿勢、正しい姿勢というと、皆一様に「意識して背筋を伸ばすもの」「ツラさを我慢して耐えるもの」といった考えを抱きがちだ。しかし本当はその逆で、本来、いい姿勢に気合いや我慢などは必要ない。「ラク」かつ「自然体」でいることこそが、体にとって正常な姿勢を保てていることの証。姿勢を正してツラいと感じてしまうのは、すでにあなたの体がゆがんでいるからなのである。
あるいは「姿勢が悪いのは単に筋力がないからだ」「腹筋とか背筋を鍛えればいいのでは?」と思っている人もいるかもしれない。たしかに姿勢を維持するうえで筋肉は必要だが、それがすべてではない。というより、骨や関節がゆがみ筋肉が硬直した状態でむやみに筋トレに励んだところで、効果はあまり期待できない。それよりも、日常生活の癖や習慣によって凝り固まった筋肉をときほぐし、本来あるべきポジションに戻すこと、可動域を回復させてあげることのほうがよっぽど重要で効き目がある。
むしろ、体がゆがんでいるところに筋肉の鎧を被せてしまうと、余計に可動域が狭くなり、動きにくくなるので注意が必要だ。