世界中をめぐる著者が、現地の健康情報を毎週お届けします。
軽自動車で、アフリカ大陸縦断ドライブ。
後半戦の一歩手前です。
多少インチキしたとはいえ、ナミビアにたどり着きました。
ナミビアとは「ナニもない」という意味ですが、世界一美しいものがふたつあります。
ひとつは、「星空金賞」を受賞した世界一美しい星空。
星空金賞に輝いたのは、地球上で3箇所だけ。ナニもないからこそ掴んだナミブ砂漠の栄誉です。
もうひとつは、「ヒンバ族」。
世界一美しいと言われる民族です。
ヒンバ族の女性は、トップレス。
手に余る立派な乳房。肌全体に茶色い土を塗りたくるエキゾチックさと、泥で固めたレゲエ風の髪の毛。短かめのスカートから覗く健康的な太もも。乳房より見せるのが恥ずかしいという足首をアクセサリーで隠すあたりが、オヤジ心をくすぐります。
世界一美しい民族と言われているヒンバ族は、実は一生涯カラダを洗いません。
結婚前であろうと、勝負どきであろうと、結婚後であろうと。
身に塗りたくった土には酸化鉄とバターが含まれ、強い日差しや虫から身を守り、粉末状の香草で匂いを紛らわしています。
乾燥しているのでそもそもあまり臭わないというものの、加齢臭を振りまく我が身としては俄かには信じられぬ話です。
確かに彼女たちと直接話をしたところ、異臭は漂っていませんでした。
疑わしき箇所をピンポイントに攻めれば、芳しき花の香りでも確認できたかもしれませんが、そんなフィールドワークは望まぬ夢なのです。
武蔵、臭いぞ!
世界を見渡すと、ヒンバの女性以外にもカラダを洗わない民族がいます。
例えば、草原の民モンゴル人。
一昨年、モンゴルの移動式家屋「ゲル」に泊まりましたが、確かにシャワーの類はありません。
ついでに言うとキッチンもなく、それどころかトイレもなかったです。要するに、水関係はゼロ。
さほど広くないゲルに数人が雑魚寝するのが普通で、当然、部室のような汗臭さが充満しそうですが、ぜんぜん臭くないのです。
乾燥による脱臭効果とは、かくも強力なものなのかと驚くばかりですが、チベットで事情が変わります。
チベット人が生涯カラダを洗わないと紹介した河口慧海が、「彼らは不潔だ不潔だ」としつこく書き留めているので、乾燥を凌ぐ体臭だったに違いないです。
カラダを洗わない有名人を探せば、日本代表は宮本武蔵。
「洗足行水をきらひて、一生沐浴することなし」と書かれた、風呂嫌いです。
巌流島ではたぶん、臭いぞ武蔵、って言われていたのです。
中国3000年の歴史も侮れません。
あの毛沢東は風呂に入らなかっただけではなく、歯も磨かなかった猛者。それでも生涯性豪として現役だったわけですから、なんていうか、若い女性もたいへんです。
フランスに飛べば、ルイ14世もまた入浴は生涯に2、3度だけ。
再び日本に戻ると、作家の五木寛之さんは「数か月に一度しか髪を洗わない」と大威張りしていながらも、頭髪はふさふさ。路上生活者にハゲなしと自ら証明していた五木氏は、頭髪欠損症の希望の星です。
「The Dirtiest Man in the World」と呼ばれるイラン人は、60年間シャワーを浴びていません。ネットで御本尊を拝めますが、パソコンを閉じたくなるほど汚いです。
彼が言うには、清潔さは病の原因。清潔を拒否して、長生きしています。
肌荒れを鎮める菌力!
世界一汚いイラン人の言うように、不潔こそが健康かといえば、さにあらず。
中世に大流行したペストは、あまり入浴しないヨーロッパ人は多く罹り、感染率が低かったのは入浴習慣のあるユダヤ人。カラダは洗ったほうがいいのです。
しかし、くれぐれも洗いすぎは禁物です。
皮膚の表皮ブドウ糖菌、すなわち善玉菌が減少すれば、肌荒れの原因になります。
肌本来が持つ菌力を活かすため、最近、No Pooなるものが静かに流行中。
No Shampooの略称で、シャンプーも石鹸も使わないカラダの洗い方です。
1週間でも実践すると、肌が生まれ変わるそうです。
ならば、ここナミビアで、No Pooにチャレンジします。
「カラダを洗わない世界一美しい民族 VS No Pooオヤジ」
さっそく、今日のシャワーから。
後日レポートいたします。
ちなみに以前、荷物を減らそうとして石鹸で髪を洗ったところ、湿疹だらけになった頭。
頭皮が生まれ変わって、ふさふさになれば幸いです。
デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。