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人生100年時代を生き抜くための具体策は「週末起業」|大人の週末起業

 

「自分と同じ境遇の人たちを助けたい」という思いがビジネスに

 

私自身、もともとは金融系の会社でサラリーマンをしていました。けれども、前述したように不況の中で不安を感じ、またかねてから教育・コンサルタントの仕事をしたいという希望があったので、会社員を続けながらビジネスパーソンの自立を支援する事業を始めました。やがて独立して20年近く活動し、会社を設立し、社員も採用し、ある程度軌道に乗ったので、2年ほど前に社長職を譲りました。今は、これから何をやっていこうか考えているところです。私自身、今まさに「大人の週末起業」を模索中なんです。

 

ただ、最初に「週末起業」をしたときからずっと変わらない思いがあります。「自分と同じ境遇の人たちを助けたい」というのが私の人生のテーマなんです。当時、私はリストラに怯えるいちサラリーマンでしたが、「自分と同じように、悩んでいる人を手伝いたい」という思いから始めた活動がビジネスになった。「週末起業」という事業で自ら「週末起業」したような感じですね。

現在は「人生100年時代」と言われ、「会社を辞めた後、どうしよう」と悩んでいる人がたくさんいる。「会社という後ろ盾を失ったとき、自分は生きていけるのだろうか」——悩みの根本は、「週末起業」を立ち上げたときと同じです。私は今後、そういう人たちを応援していく仕事を少しずつやっていきたいと考えています。再び、「大人の週末起業」という事業で私自身の「大人の週末起業」を実践していくということです。

 

具体的にどうすれば100年時代を生き残れるのか?

 

週末起業』は10年以上前に刊行された本ですが、最近、「とても10年以上前の本とは思えない」「今の時代にぴったりな内容ですね」という感想をいただくことが増えました。

2018年には政府が「モデル就業規則」を改定し、積極的に副業・兼業を推進する姿勢を示したことが大きな話題を呼びました。しかしそれは、何も親切で言っているわけではなく、少子高齢化・年金の先細りなどの問題が蔓延る中、「会社や社会保障を当てにせず、定年後も自力で稼げるようになってもらわなければ困る」というのが実情でしょう。それを邪魔するような副業禁止規定をもつ企業に対して、「余計なことは言うな」というのが、「副業解禁」だと言えます。

実は、『週末起業』の中には、「副業解禁のような流れはいずれやってくるだろう」ということが書いてあります。10年以上前に書いたことが実際に起きたんですね。

 

そして、人生100年時代も本当にやってくると思います。そのことで困る人も出てくる。何が困るかと言うと、「お手本がない」ことです。今までのお手本、人生のロールモデルが使えないんです。

LIFE SHIFT』が生んだ「人生100年時代」というフレーズは、まさにこれからの社会をぴたりと言い当てたものです。ただこの本には、「具体的に、何をどうすれば100年時代を生き残れるのか」というステップまでは詳しく書かれていない。ロンドン・ビジネススクールの教授が、学者として、現状分析とそれに基づいた予測を提示するものです。

そこで、「では、今の日本に生きる私たちはどうしたらいいのか」まで掘り下げていくのが、我々実務家の使命ではないかと思うのです。「人生100年時代」を知って不安になった人たちに向けて、「あ、これを待っていた」というような解決策を提示できないか——そう考えたとき、「週末起業」は人生100年時代にも適用できるんじゃないか、という結論にいたりました。

 

大人の週末起業にはゴールがない

 

とはいえ、私も明確な答えやお手本を示せるわけではありません。週末起業には、「単なる副業として終わらせるのではなく、それで独立できるくらいの事業に育てる」というゴールがありました。そして私自身、実際に週末起業をして独立というゴールに辿り着いたからこそ、「こうやればうまくいきましたよ」とアドバイスできました。

しかし、大人の週末起業にはゴールがない。あえて言うならば一生を終えて、死ぬことがゴールでしょうか。私自身、まだ道半ば、奮闘中の身です。

そこでなにができるか考え、立ち上がったのがこの連載企画です。まずは、実際に「大人の週末起業」に取り組んでいる人たちや成功事例を紹介し、私自身も学びながら、みなさまにもご自身なりの生き方、定年後を含めた人生設計というのを自ら考えていただく。そうすることで、見えてくるものがあると思うのです。

 

 

「大人の週末起業」は誰かが講師になるのではなく、みんなが生徒であり、先生。それぞれの人生のあり方をお互いが教え合い、学び合う事業です。それはもちろん、私自身も含めて。この連載を通して、「人生100年時代を自分らしく、幸せに生き抜くための具体的なヒント」をともに見つけていけたら幸いです。

 

藤井孝一(ふじい・こういち)
経営コンサルタント(中小企業診断士)/株式会社アンテレクト取締役会長。独立・起業を目指すビジネスパーソンに対し、ノウハウ提供やアドバイスなど、実践的なサポートを行う。特に、かつて「副業」と呼ばれていた「在職中から起業する」スタイルを「週末起業」と名付け、その普及に東奔西走する。この活動を加速させるため、2003年に「週末起業フォーラム」を創設、1万人を超えるビジネスパーソンが学び、独立・開業を果たす。さらに、ビジネスパーソンの自立を、教育コンテンツ、パートナーシップ、インフラの面からも支援するために、株式会社アンテレクトを創設、経営を行っている。著書に代表作『週末起業』(筑摩書房)新刊『大人の週末起業』(クロスメディア・パブリッシング)のほか50冊以上。うち、いくつかは中国、台湾、韓国でも刊行されている。1966年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。

 

『大人の週末起業』刊行のお知らせ

大人の週末起業』(藤井孝一/クロスメディア・パブリッシング刊)

あのベストセラー『週末起業』から16年、令和の時代に待望の“大人版”週末起業が満を持して登場! 

本書は、ベストセラー『週末起業』の著者である藤井孝一氏が、大人向けに週末起業の始め方を書き下ろした作品です。週末起業とは、会社に勤めながら、週末は自分のビジネスを立ち上げ、軌道に乗ったら独立する、そんな起業スタイルのことです。藤井氏が20年ほど前、サラリーマンに向けて提唱を始めた起業法です。

それから20年、いまや週末起業は当たり前になりましたが、今回あえて大人版を出すのは、40代、50代のミドル層のサラリーマンが、新たな苦難に直面しているからです。

苦難とは、「長寿」です。人生が100年になってしまったことで、定年退職してからも、人生がだらだら続くことになりました。その結果、大半の人は稼ぐ手段を失ったまま、人生ばかりが長くなる時代になったのです。退職金などの蓄えは間違いなく底をつくでしょう。

人生の後半戦を幸せに過ごすには、何よりお金が大事ですが、それを継続的に確保する方法論は未だ語られていません。

そこで今回、藤井氏は「週末起業実践会」で2万人超のビジネスパーソンを指導してきた経験をもとに、ミドル層の大人に向けて、一人一人の経験や人脈、趣味などを活かした週末起業の始め方を指南! 成功例を交えながら具体的に話を展開します。

Chapter0 人生100年時代の衝撃。「稼ぐ力」で生き残る
Chapter1 こんな定年後はイヤだ! 定年残酷物語
Chapter2 小さな起業を成功させる! 「大人の週末起業」
Chapter3 大人の週末起業はこうやる! ~準備編 ネタを見つける~
Chapter4 大人の週末起業はこうやる! ~実践編 顧客を獲得する~
Chapter5 起業のやってはいけない! 10のタブー

→『大人の週末起業』を詳しく見る(Amazon)

About the author

藤井孝一 

経営コンサルタント

経営コンサルタント(中小企業診断士)/株式会社アンテレクト取締役会長

独立・起業を目指すビジネスパーソンに対し、ノウハウ提供やアドバイスなど、実践的なサポートを行う。

特に、かつて「副業」と呼ばれていた「在職中から起業する」スタイルを「週末起業」と名付け、その普及に東奔西走する。

この活動を加速させるため、2003年に「週末起業フォーラム」を創設、1万人を超えるビジネスパーソンが学び、独立・開業を果たす。

さらに、ビジネスパーソンの自立を、教育コンテンツ、パートナーシップ、インフラの面からも支援するために、株式会社アンテレクトを創設、経営を行っている。

著書に代表作『週末起業』(筑摩書房)のほか50冊以上。うち、いくつかは中国、台湾、韓国でも刊行されている。1966年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。

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