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健康経営優良法人制度とは?認定のメリットや2021年認定基準を解説

人手不足の解消や持続可能な経営の観点から「健康経営」に力を入れる企業が増えています。そんな健康経営に戦略的に取り組む企業を「見える化」する制度が「健康経営優良法人制度」です。

※「健康経営」の考え方や取り組み方はこちらの記事をチェック!

健康経営とは?メリットや導入ステップをわかりやすく解説!

 

健康経営優良法人制度とは

「健康経営優良法人制度」とは経済産業省のヘルスケア産業政策の一つとして実施されている認定制度で、2021年で5回目を迎えます。

経済産業省のホームページでは以下のように説明されています。

「健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。
健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。」

※引用:健康経営優良法人認定制度(METI/経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoukeiei_yuryouhouzin.html 2020年10月23日閲覧

 

申請区分ー「健康経営銘柄」との違いとは

健康経営推進に向けて一足先に開始した「健康経営銘柄」の選定対象は、東京証券取引所の上場会社、原則1業種一社と限定されています。対して「健康経営優良法人制度」では「大規模法人部門」「中小規模法人部門」の2部門が設けられており、未上場の中小企業にまで認定対象が広げられています。

申請区分は、業種ごとに従業員数または資本金額等で分けられています。

 

申請から認定までの流れ

申請方法も部門ごとに異なっています。

 

ー「大規模法人部門」申請のステップ

「健康経営度調査」に回答する

②健康経営優良法人の申請書を受領・提出する

 

ー「中小規模法人部門」申請のステップ

①協会けんぽ等の保険者が取り組む「健康宣言」事業に参加する

②「健康経営優良法人(中小規模部門)認定申請書」を作成・提出する

申請が済んだ企業は、健康経営優良法人認定委員会から審査を受けた後に日本健康会議から「健康経営優良法人」として認定を受けます。

 

健康経営優良法人2020に認定された企業

2020年には

「健康経営銘柄2020」に30業種40銘柄が選定され、

「健康経営優良法人2020(大規模法人部門)」に1480法人、

「健康経営優良法人2020(中小規模法人部門)」に4816法人が認定されました。

詳細は経済産業省ホームページよりご確認いただけます。:https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200302004/20200302004.html

 

 

「健康経営優良法人2021」の認定要件

経済産業省は、①経営理念(経営者の自覚)②組織体制③制度・施策の実行④評価・改善⑤法令遵守・リスクマネジメントの5つの大項目からなる健康経営優良法人の認定要件を設けています。特に、③制度・施策の実行では、企業に求められる従業員の心と身体の健康維持・増進ワークライフバランスの推進に向けた取組が明記されており、その中でも大規模法人部門、中小規模法人部門に共通する項目をこの記事では紹介します。

 

大項目③制度・施策の実行

➖従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討

  • 対策の検討
  • 健康課題の把握

➖健康経営の実戦に向けた基礎的な土台づくりとワークエンゲイジメント

  • ヘルスリテラシーの向上
  • ワークライフバランスの推進
  • 職場の活性化
  • 病気の治療と仕事の両立支援

➖従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策

  • 保健指導
  • 健康増進・生活習慣病予防対策
  • 感染症予防対策
  • 過重労働対策
  • メンタルヘルス対策
  • 受動喫煙対策

 

大規模法人部門では、上記の他に健康経営の「取組の質の確保」(産業医や保健師の関与)も認定の必須要件です。

※認定要件の詳細は経済産業省の下記ページよりご確認ください。

健康経営優良法人の申請について(METI/経済産業省)https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoukeiei_yuryouhouzin_shinsei.html 

 

健康経営優良法人に認定されるメリット

①企業価値・社会的評価の向上

健康経営優良法人に認定されると、企業は投資家や金融企業などから「従業員の健康増進に戦略的に取り組んでいる法人」という評価を受けられ、消費者や求職者対しては「ホワイト企業」としてイメージアップも狙えます。やがて自社株価の上昇や、特に中小企業では人手不足解消につながると期待されています。

 

②自治体・金融機関からのインセンティブ受容

  • 金融機関・自治体等による融資優遇、保証料の減額や免除
  • 自治体による奨励金や補助金
  • 自治体による健康経営に取り組む企業の認定・表彰制度の実施
  • 自治体が行う公共工事・入札審査での入札加点

等々、健康経営に取り組む企業に対して優遇措置を付与する自治体・金融機関が増えています。

ー「健康経営優良法人」認定事業者に対する優遇措置例

 

【健康経営2021】制度・認定要件はどう変わったのか

健康経営優良法人2021の認定にあたっては、前年からの変更・追加が何点か見られます。

 

①健康経営における具体的な目標設定の必須化

「大規模法人部門」「中小規模法人部門」ともに、小項目「対策の検討」の評価項目「健康課題に基づいた具体的目標の設定(旧:健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標(計画)の設定)」が選択要件から必須要件になりました。

健康経営では従業員の「健康づくり」という短期間で結果の出ない取り組みを通して、将来的に生産性向上などを目指します。そのため、効果的・持続的に実践していくためにはPDCAサイクルを機能させることが不可欠です。仮に自社の健康課題や目標設定が曖昧なまま「DO=制度・施策の実行」に取り組めば、施策の空ぶりやコスト増加に陥ります。

今回の「健康課題に基づいた具体的目標の設定」の必須要件化によって、企業には健康経営における「PLAN」の明確化が強く求められていると言えるでしょう。

 

②「ホワイト500」に続いて「ブライト500」の認定を開始

健康経営優良法人2020から、大規模法人部門の優良法人のなかで、健康経営度調査の上位500法人が「ホワイト500」として認定されています。

さらに2021年からは、中小規模法人部門の優良法人のなかで「健康経営優良法人の中でも優れた企業」かつ「地域において、健康経営の発信を行っている企業」として優良な上位500法人が新たに「ブライト500」として認定されることになりました。

 

③新型コロナウイルス感染症拡大を受けた対応

新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の影響で予定していた健康診断やイベントが実施できなかった企業を考慮し、経済産業省は

「新型コロナウイルス感染の影響で実施が出来なかった取組については、適宜配慮・救済措置を行う。」

※引用:健康経営優良法人の申請について(METI/経済産業省)https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoukeiei_yuryouhouzin_shinsei.html 2020年10月23日閲覧

としています。

救済措置を検討しつつ、企業が講じた新型コロナウイルス感染症への対応策も評価項目「従業員の感染予防に向けた取り組み」に当てはめて評価する方針です。

 

【ウィズコロナ時代】健康経営優良法人2022に向けて求められることとは

①喫煙対策の強化

経済産業省は、健康経営優良法人2021の認定要件において、2022年に向けて評価項目の追加や変更を示唆しています。

まず、「大規模法人部門」「中小規模法人部門」ともに「制度・施策実行」の評価項目に「従業員の喫煙対策」の追加が検討されています。

2020年4月1日から改正された健康増進法が施行され、受動喫煙防止の徹底が各自治体や企業で行われています。健康経営優良法人制度においては、すでに「受動喫煙対策に関する取り組み」が認定の必須要件とされている上での追加検討ですから、分煙・受動喫煙の防止だけでなく、喫煙者の健康被害にも目を向ける必要が読み取れます。

 

②健康経営の評価・改善に向けた取り組みの実施

次に、「中小規模法人部門」では評価項目「健康経営の評価・改善に関する取り組み」の必須要件化が検討されています。健康経営優良法人2021における「健康課題に基づいた具体的目標の設定」の必須要件化に続いて、より多くの企業にPDCAに基づいた健康経営が求められて行くでしょう。

 

③感染症対策と健康施策の両立

健康経営優良法人2021の認定ではコロナ禍で健康施策が実施できなかった企業への各種配慮が示されていましたが、同時に安全性が確保された段階で早期に実施することも求めています。感染症対策を継続的に取り組みつつ、セミナー・イベントの再開やオンライン開催等、ウィズコロナ時代を見据えた健康経営を考えなければいけません。

 

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