手軽な糖質ダイエットのワナ
「おもに主食(炭水化物)を抜くだけ。それ以外の肉や魚は好きなように食べてOK」という手軽さから、人気になっている糖質制限ダイエット。「糖質ゼロ」「糖質オフ」の表示がある食品もたくさん登場していて、「糖質=ダイエットの敵」ととらえている人が多いようです。
しかし、糖質を極端に排除する過激な糖質制限ダイエットは、一気に体重が減ったという人がいる一方、「すぐにリバウンドしてしまった」「体調が悪くなった」という人も少なくありません。
そもそも、「糖質」って?
糖質とは、砂糖のような甘いもののほか、ごはんやパン、麺、イモ類などの炭水化物に含まれる栄養素。体内でブドウ糖に分解されて、体のエネルギー源として使われます。また、とり過ぎると体脂肪として蓄積され、肥満の原因にもなってしまいます。
糖質制限ダイエットに潜む4つのリスク
糖質が太るもととはいえ、糖質を減らし過ぎるのも問題です。「炭水化物を一切とらない」といった極端な糖質制限ダイエットには、次のような4つのリスクが潜んでいるのです。
①体脂肪は減りにくく、リバウンドしやすい
手っ取り早く痩せたいからと食事量をぐっと減らしても、最初に減るのは水分と筋肉です。糖質制限ダイエットでも、食事だけでは体脂肪はなかなか減りません。
また当然、リバウンドのリスクも高くなります。「もう一生、ごはんは食べない」というなら別ですが、一気に体重が減っても、抜いていた炭水化物をとるようにすると、すぐに体重は元どおり。中には「我慢していた反動で食べ過ぎて、ダイエット前より太ってしまった……」という人もいます。
②イライラする・頭が働かなくなる
体が消費するエネルギーの約20%は、脳で使われています。それだけたくさんのエネルギーを必要とする脳のおもな栄養源は、糖質からつくられるブドウ糖。糖質制限ダイエットでブドウ糖が不足すると、脳の機能はガクンと低下します。実際、炭水化物を抜くようにしたら頭がぼーっとするようになったという人も多いのです。
当然、集中力や記憶力は低下し、仕事のパフォーマンスも下がります。また、イライラしたり、落ち込んだり、気持ちが不安定になることもあります。
③血液ドロドロのリスクが上がる
炭水化物を減らして糖質を制限すると、一般的に、たんぱく質や脂質の摂取量が多くなります。ごはんなどの主食を食べない分、肉や魚などをたくさん食べて満足感を得よう、エネルギーを補おうとするからです。
とくに、肉の脂質のとり過ぎは血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールを増やします。すると、血液がドロドロになり、動脈硬化を促進させるので、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める恐れがあるんです。
④食物繊維の不足で体調不良に
炭水化物は糖質と食物繊維で構成されています。炭水化物が多いからといって、食物繊維が豊富なイモ類・玄米・雑穀・果物などを抜くと、糖質だけでなく、食物繊維も不足しがちになってしまいます。
食物繊維が不足すると起こるのが便秘。便通が悪くなると、腸内環境が崩れて免疫力が低下したり、老廃物や毒素がうまく排出されずに肌荒れを起こしたりすることもあるのです。
糖質制限ダイエットのリスク、おわかりいただけたでしょうか?糖質制限ダイエットをするなら、夕食のごはんを抜く程度の「ゆる糖質制限」くらいにしておくのがおすすめです。
「なぜあの人は、夜中にラーメン食べても太らないのか?」(著:道江美貴子)より
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