食事とは、一日の中で誰にでも訪れる機会ですね。もしあなたが料理をするならば、「今」に意識を向け、集中を高める絶好のタイミングです。
まずは、「自分は頭の中の情報にとらわれている」ことを意識しましょう。
食事を作る、または食べる際に、「栄養があるものでなければ」「野菜がないとダメ」「高カロリーは避けたい」などの考えを、前提として持っていたりしないでしょうか?
そこで、「健康には魚がいい」「甘いものは控えよう」といった具合に、献立を考える際、または食べるものを選ぶ際にも、無意識に工夫を凝らすのです。
しかし、このとらわれた思考こそが、容易に過度なストレスに変化します。気づかないうちに、「こうでなければ」という思考に沿って行動するようになり、本来持っている自分の感覚を感じ取ることが難しくなっていくのです。
もちろん、正しい食の情報や、偏りのない食事は大切ですが、自分自身の感覚に立ち返ることも大切です。まずは、とらわれている自分に気づいてください。
禅寺でいただく、肉や魚などの動物性の食材を用いない「精進料理」は有名ですね。ただひたすら量や味を求めることは煩悩につながります。
精進料理は修行の一環であることはよく知られています。
「なぜ精進なのか?」には、多くの理由があります。その一つが、日常にも生きてきます。禅僧たちは、料理をする際、野菜中心の菜食しか使えないという制限があることを苦痛ととらえたりしません。
限られた条件の中でいかにしてみんなに美味しい料理を食べてもらうか、その可能性を見出すことを考えます。与えられた条件に苦痛を感じるよりも、楽しんでいるのです。
料理をすると仕事の集中力がアップする!?

現代人は、「すべてが用意されていないと何もできない」、あるいは「何かをするためには、必要なものを揃えなければならない」と思い込んでいます。
これは集中力にとってはマイナスとなる思い込みです。
「なくても何とかする」のです。この集中を養うために、炊事は最適なのです。日常の料理では、「あるもので」から始めてみましょう。
「あるもので」手を抜かず、美味しい料理を作ろうという日々の姿勢は、必ずやあなたの「集中力」を高めていくでしょう。こうして、「料理の腕前」だけではなく、「仕事の集中力」もアップしていくのです。
具体的にはまさに今、手にしている食材に感覚を向けましょう。
食材を洗う、皮をむく、切り分ける、火にかける。一つ一つ工程を踏んで、調理が進んでいくことに集中してみましょう。
現代では、「すぐに食べられる」状態で売られている食材がたくさんあるので、食材の命を感じることが難しくなっています。
食材の柔らかさや色、匂いなどの変化を感じ取りながら、調理をしていますか? 食材の個体差に気づいたり、温度や質感を感じてみたり、じんわりと出てくる汗なども感じ取ってみましょう。
変化に気づくことは、集中しているということです。
また、ぜひ丁寧に調理をしてください。「丁寧」の対極にある姿勢が「ごまかし」です。
流行の時短料理がありますが、これは「丁寧でなくてもいい」ということではありません。ネットやSNSでは、「『時間がない』という悩みに応える」というキャッチコピーをしばしば見かけます。ですが、「時間がない」というのもまた、自縄自縛なのです。そのフレーズにあおられて、心が縛られてしまっています。
「たった5分」「パパッと」「やる気ゼロでも」「スキマ時間で」「面倒なし」、これらのフレーズも「丁寧さ」に欠くものです。
もしあなたが、日常や仕事や人生を充実させたいと願うのなら、当たり前のことを当たり前のようにやりましょう。炊事も同じです。
「面倒を厭わず、やる気を出して、下ごしらえもちゃんとして」料理をしてみましょう。一日のうち一回でも、2日に一回でも、1週間に一回でもかまいません。それを習慣にしていくのです。
『ZEN、集中、マインドフルネス』(著:大竹 稽)より
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