睡眠不足による悪影響は重々承知、でも決めた時間にベッドに入ってもなかなか眠れない……。そんな悩みを持つ現代人は多いのではないだろうか。
一流が通う“疲労回復専用ジム”ZERO GYM(ゼロジム)は、良質な睡眠を取るためには「ベッドに入る前、寝る直前の仕込み」が何より大切だという。
本記事では、数々のエグゼクティブのコンディショニングをサポートするZERO GYMの著作『エグゼクティブ・コンディショニング』から、睡眠に適した姿勢と、それを可能にするポーズを紹介する。
睡眠に適した姿勢とは?

次のストレッチの解説に入る前に、睡眠に適した姿勢についてお話ししていきましょう。安心して眠るには、心身が安心する姿勢でないといけません。
睡眠に姿勢があるのか? と思われた方、はっきりと言いますが、あります。
睡眠のための安心感をつくる姿勢とは、「仰向け」のことです。 胸は十分に開けていて呼吸は深く、体の一カ所に負担がかからず、血流やリンパも滞らない状態。
一方、机に突っ伏して寝ていたり、横にうずくまるようにして寝ていたらどうでしょうか? 胸が内側に閉じて呼吸は浅くなり、特定の筋肉や関節に負担がかかり……これでは安心どころか、寝ながら疲労と緊張をつくっているようなものです。
さらに、座り仕事やパソコン仕事などで縮こまった体のままでは、心身はリラックスできません。あなたも日々、背中が丸まり、肩が内側に入った姿勢や、ふんぞりかえったような姿勢で仕事をしていないでしょうか? ずっと座りっぱなしで、悪い姿勢をとっていると、これが固定化し、寝るときも仰向けの状態がしっくりこなくなってしまいます。
「正しい仰向け」の姿勢をつくろう

人が寝返りをうつのは、仰向けの状態に違和感があるために起こることはご存じでしょうか?
常に猫背で胸が閉じている状態だとそれが普通になってしまい、仰向けで胸を開いた状態に違和感を持ってしまうのですね。
結果的に呼吸は浅く、体の一部分に負担がかかったまま眠ることになります。
眠りの質を高め、さらに眠っている最中も体を疲れさせないためには、「仰向けの姿勢」をつくることが大事です。その状態でやわらかい毛布に包まれたら、これ以上ない安心感に包まれてあなたは眠りにつけるはずです。
ただし、病気やケガなどがある方は仰向けの姿勢が合わないこともありますので、そのような方は専門医と相談のもと行うようにしてくださいね。
さて、仰向けが重要、というのはわかったけど、単に仰向けで寝るだけ? と思った方。仰向けは仰向けでも、「正しい仰向け」で寝る必要があります。
そのために着目するのが、「首の後ろの詰まりのリセット」。
それを可能にするポーズをご紹介します。
コリ解消&リラックス効果 抜群!『ウサギのポーズ』
まずは、「首の後ろの詰まり」をとるポーズ『ウサギのポーズ』です。
今は、顎や首が前に出ている姿勢の方がとても多いです。これは長時間のパソコン仕事などによって首が変形しているためと考えられます。首は柔軟に動く分、ストレスを受けやすく、特に首の後ろに詰まりが発生してしまうのです。
首の後ろの詰まりというのは、首コリや肩コリの原因になるのはもちろん、首 に通る神経を圧迫し、脳への血流を悪くし、頭痛などのさまざまな不調の原因にもなります。 それを改善するのがウサギのポーズです。見た目はなんだかわかりにくいポーズのように感じられるかもしれませんが、一度行ってみてください。とっても簡単です。
しっかりと首の後ろを伸ばしてくれ、その伸びに脳の重さ(自重)をかけてくれるので、このポーズだけで首周りの筋肉や関節などに溜まったストレスが軽減されます。
こちらのポーズのメリットは次の通り。たくさんの恩恵が期待できます。
◉とっても簡単!
◉首の後ろの詰まりがとれる
◉血流を脳に送ることができる
◉脳の重さを使って脳天を刺激できる
◉首コリ、肩コリ解消
◉リラックス効果抜群
◉自然と呼吸が深まる
睡眠の質を高める『ウサギのポーズ』のやり方

①正座し、おでこを床につけるように前屈します。背骨は丸まってOK !
②ゆっくりとお尻を持ち上げて、頭頂部を床の方に向けていきます。このとき、手のひらを床につけておき、首に過剰な負荷がかからないよう注意します。
③自分の膝の間に目線を向け、「痛気持ちいい」ところで5回ほど呼吸します。 頭の位置に違和感を感じたら置き直して OK です。必要があればその都度微調整しましょう。
【ポイント】
脳への血流をよくしているので、いきなり起き上がらないようにします。最後までできたら、おでこを少しずつ床につけるようにして、最初の前屈の状態に戻ります。そこから、頭が最後になるように、30秒くらいかけるイメージでゆっくりと起き上がってください。
心身を睡眠へと誘うには、「ゆっくり動く」ということも重要です。いきなりバッと起きるとせっかくのリラックスモードも台無し。背骨を丸めながら、頭が最後になるようにゆっくりと起き上がってください。
一緒にすると効果的!セルフヘッドマッサージ

ちなみに、このポーズをとったら、少し頭頂部周りを動かすことをお勧めします。 頭頂部を次のページの図の①~⑦に沿って動かしてみてください。再度中心に戻ってきたら、そのまま5回呼吸します。脳の重さによって、頭がほぐされていくのがわかるはず。
マッサージ師から受けるヘッドマッサージと同じ気持ちよさを味わえるかもしれません。むしろ、細い指からの刺激より、頭の重さから受ける刺激のほうが、ピンポイントで気持ちよく、効率的にリラックスできるでしょう。
