「まんがでわかる!元気が出る睡眠」(漫画・カミムラ晋作 監修・鍛治恵)より
睡眠の質は年齢とともに変わっていく
寝つきはいいけれど、夜中に何度も目が覚める。
中途半端な時間に起きてしまい、朝まで眠れない…。
そんな悩みをお持ちの方もいらっしゃると思います。
「中途覚醒」と呼ばれるこの症状は、睡眠のリズムが途中で分断されてしまうので、「疲れがとれない」「寝覚めが悪い」といった症状のほか、集中力の低下やストレスの増加を招いたりします。
自律神経の乱れや飲酒の影響など、原因は様々ありますが、可能性の1つとして、「加齢変化」によるものが考えられます。
入眠までの時間と中途覚醒の時間を除いた実質的な睡眠時間は、一般的に、歳をとるにつれ、徐々に減っていきます。
睡眠の質は、年齢とともに変化していくものなのです。変化が出始めるのは、おそよ40代以降から。
もし、このくらいの年代で多少の中途覚醒があるくらいなら、それほど深刻になることはありません。
それよりもこれは年齢によるものと考え、適切な対応策をとるようにしましょう。
途中で起きてしまったときは
具体的には、まず、夜中に目が覚めてしまったときの環境を整えること。
洗面台や室内の照明の照度は意外に強く、こうした目から入る強い光は、余計に目が覚めてしまう原因になります。
電気をつけなくても寝室からトイレまで行って帰ってこれるよう、例えば、
①持ち運べる明かり(懐中電灯)を枕元に置いておく
②転倒防止のため床に物を置かない
③歩きやすいようにフットライトを利用する
などを心がけるといいでしょう。
もう一つは、再びスムーズに入眠できるよう、ラジオや音楽を活用することです。
暗い部屋で目を閉じ眠れないと焦ってしまうより、ずっといい対策になります。
強い光を放ち交感神経を刺激する、スマホやタブレット、PCの利用はおすすめできません。
ただし症状があまりに頻繁にあらわれる場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性もあります。
①いびきをかく
②起きたとき口や喉が渇いている
③肥満体質である
④仕事中に激しい睡魔に襲われる
といった症状に心当たりのある人は専門医にご相談を。
睡眠は無理にまとめてとらなくてもよい?
逆に、忙しさに迫られてまとまった睡眠時間がとれない、あるいは職業柄どうしても不規則になってしまうという人には、「分割睡眠」という眠り方が一つの手かもしれません。
文字どおり、1日の中で睡眠時間を何回かに分けて確保するという方法です。
極端な短時間睡眠や徹夜は脳や体を疲弊させますが、「意識的に、短めの睡眠を複数回とる」というやり方は、その限りではないという説もあります。
メリットデメリットのバランスを考えると、「徹夜作業をするくらいなら、一定期間、1日のトータルで4時間前後の睡眠時間で乗り切る」というやり方も方法の1つかもしれません。
短時間睡眠でも力がみなぎる眠り方
どの時間帯に、続けて何時間まで眠るのか。
これが、分割睡眠をうまく取り入れる際のポイントです。
たとえば2回に分けて睡眠をとる場合は、一方の4時間睡眠を午前1~5時にとるようにしましょう。
深夜から早朝にしっかり眠っておくと、生体リズムが乱れにくいとされています。
この時間帯を押さえておけば、もう1回の睡眠はいつとってもよい…。
この眠り方は、「アンカースリープ(係留睡眠)」といわれます。
また、1回につき最低でも3時間は連続して眠るようにしましょう。
理由は、入眠から約3時間の間にあらわれる深い眠り「メジャースリープ」を保つためです。
短時間睡眠でも脳をしっかりと休養させるためには、この深い睡眠がとても重要だといわれています。
質の良い睡眠をしっかりとることが理想なのはいうまでもありませんが、多忙を極める人、勤務時間の不規則な人は、徹夜をするよりは、分割睡眠を奥の手として活用してみるのもありかもしれません。
『まんがでわかる! 元気が出る睡眠 (Business Life)』 (クロスメディア・パブリッシング) |
参考
What is segmented sleep? Actigraphy field validation for daytime sleep and nighttime wake.