最新DVDで”鈴木ふみ奈流”センスを発揮!
この本では、一貫して「“センス”って言われると生まれつきの感覚みたいな気がするけど、そうではない。“センスがいい”とは、“知識にもとづいて最適なものを選べる”ことだ」と書かれてます。
本書では、著者の水野さんが「フランダースリネン」というブランドのロゴを依頼された場合を例に挙げて解説してくれています。それがどんなコンセプトで、どんな人にどんな印象を与えたいのか。生産地はどこで、どんな原料が使われているのか……と要素を分解して、「ベルギー産」ならその地方の情報を集めたり、ベルギー生まれの書体を使ったりして、すべて知識にもとづいて選んでいくんですね。
驚いたのが、実は私、最新DVD『Golden Smile』のパッケージで同じようなことをやってたんです!
まずDVDのロゴって、大体いつもメーカーさん側が決めてくださるんですけど、今回ちょっと趣向を変えて、自分たちで考えてみようって話になって。
「どういうイメージだろうね」と話し合って、ロケ地がロサンゼルスだったので、最初は「西海岸!」みたいなサーフっぽい感じの筆記体の書体をイメージしてたんです。
でも今回2年半ぶりに出す特別な作品だし、「ロサンゼルス感」を出したところで別にファンの人はなんとも思わないかな……とも思ったんですよ。
そうなったときにもう一つ出てきたのが、「ゴールドディスク」。今年は活動10周年でもあるし、ちょっとおごそかというか、有名なアーティストさんに贈られるトロフィーのような、“特別感のある記念品”みたいなイメージを文字にできたらいいよね、と話して。
最終的に、ゴールドディスク感とアメリカっぽさ、両方を感じられるようなMONOTONという書体を選びました。
「なんとなくこれが良いな」って感覚的に決めたんじゃなくて、ちゃんとコンセプトがあって、知識にもとづいて何個も何個も案を出して、最終的に一番最適なものを選んだっていう……まさにセンス!
とか言って。笑
書体以外にも、自分で作品全体のイメージを考えて、スタイリストさんやデザイナーさんにお願いしたんです。「10周年記念かつ、健康的で女子ウケもする感じ」にしたくて、憧れの雑誌である『スポーツ・イラストレイテッド』(連載第2回参照)のイメージとかを伝えて。
スタイリストさんも、そういうイメージのものを集めるのがうまい方にお願いして。「こういう系ならこの方が得意だな」とか、もちろんデビュー当時はわからなかったんですけど、活動してるうちにだんだんわかってきたんです。知らないと選べないですもんね。
そうやっていっぱいこだわりを詰め込んだのが今回の作品です。といっても、見てる方は別に「これはゴールドディスクを意識した書体だ!」なんて気づかないと思うけど、パッケージを見たときになんとなく「おっ、いい感じだな」って感じてもらえたとしたら、“センスがいい作品”にできたってことかなって。