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「食べることや飲むことが好きな人は、いかにしてそれを我慢できるのか?」

という問いを解くことが出来たら、それはダイエットに苦しむ多くの人を救うだけでなく、もしかしたらノーベル賞級の発見になるかもしれません。

そもそも人間の脳は、なかなか我慢が出来ないようにできています。たとえば心理学の世界では、「禁断の果実効果」という現象が知られています。

「これを食べてはいけません」と禁止されればされるほど、食べたくなってしまうという現象です。どうも私たちの脳は、抑圧に対して反抗するようプログラムされているらしいのです。

では、好きなものを我慢するにはどうすればよいのでしょうか?

1つの方法として、脳に「我慢」を強いるのではなく、脳を「許す」ことが有効だと言われています。例を挙げて考えてみましょう。

 

風呂上がりの一杯をやめるには?

たとえば、風呂上がりのビールをやめたい場合、「ビールを飲んではいけない!」と我慢すれば、脳はそれに反抗します。

しかし、「ビールは後で飲もう。そのかわりに今は水を飲むことにしよう」という具合にビールを飲むことを許してあげると、不思議なことに私たちの脳は、とりあえずビールを飲みたいという気持ちを忘れてくれることが知られています。

実際にこの方法を試してみた私の友人は、次のように言っていました。

「今まで、風呂上がりはビールって決まっていたけど、とりあえず水を飲むことにしてみた。すると、のどの渇きが癒えて、別にビールを飲まなくてもいいやと思えるようになったんだ!」

ところが、この許すアプローチには落とし穴があります。あくまで、一時的に目先の欲求をそらしているだけなので、またその欲求が戻ってくる可能性が高いのです。

実際、ビールの代わりに水を飲むことにした友人は、しばらくして次のような相談を持ちかけてきました。

「やっぱり、風呂上がりにビール飲むようになったんだよね(笑) どうしても水だと満足できなくて。どうしたらいいかな!?」

 

ポイントは代替物の選び方

実はこの「許す」方法のポイントは、我慢したい物の代わりに、どれだけヘルシーで満足できる物を用意できるかにかかっています。

友人と色々ディスカッションした結果、水ではなく炭酸水を飲むことにしてはどうか? という結論に落ち着きました。というのも、炭酸水を飲むとお腹にガスがたまるので、満足感も高くなるのではないかということになったのです。

その後なんとか友人は、ビールではなく炭酸水を飲むことが続けていられるようです。しかし、炭酸水に満足できず、またビールに戻ってしまう可能性がないわけではありません。そのため、「ビールの代わりに何を飲むのか、創造力を発揮して今のうちから準備しておかないといけないね」とよく話しています。

いずれにせよ、食べることや飲むことが好きな人にとっては、ダイエットはひどく難しい道です。その際に、「禁止」をしてしまうと私たちの脳は大きな抵抗を示すので、いかに許すかが解決の鍵となります。ぜひ、「創造的な許し」を考えてみてはいかがでしょうか?