「デキる人は、ヨガしてる。」(著:石垣英俊、及川彩)より
ヨギー(ヨガをする男性)が少ない理由
多くの女性から支持されているヨガですが、なぜ男性にはまだ広く受け入れられてないのでしょうか。
確かに一昔前に比べれば、ヨギー(ヨガをする男性)は急増しました。
しかし、今なおヨガをすることを躊躇する男性も少なくありません。先日、30代後半の男性のお客様がこんなことを話してくれました。
「俺にヨガやらせたら大したもんだよ。そもそもヨガやってる男って、女性にモテたいからやってるんじゃないかって思っちゃう」
なるほど、そんな考え方もあるようです。
つまり、下心でヨガを始めたと思われたくないと、そんな事情もあるようです。
一方で、女性が多いから恥ずかしいとか、目のやりどころに困る、といった意見もあります。
ヨガの世界へ飛び込み、そして
私自身も男性ですので、女性の多いヨガの世界に足を踏み入れるには、それなりに勇気が必要でした。
本書の冒頭でお話ししましたが、私は父の書庫から出てきた一冊のヨガの本を読み、ヨガを始めました。
ヨガの効果を誰かに教えてもらったわけではありませんが、本を一気に読み終えると、心はもう決まっていました。
治療院にヨガスタジオを併設しようと考えたのです。
この流れに逆らう必要はない、気がつくと代々木にあるアンダーザライトヨガスクールのティーチャートレーニングに申し込んでいました。
そして、そこからヨガの様々な智慧を学んだのです。
ただ、私も初めからヨガの恩恵を受けたわけではありません。
ヨガを始めてから随分経って、私は改めて「ヨガの本質」に気づくことになります。
「人と比べませんよ」
ヨガを始めてからも、できないポーズがあると、口々に悔しさを言葉に表す自分がいました。
その悔しさの対象は、周りと比べてどうか、ということでした。
周りと競争してしまうのは誰にでもあることかもしれません。
子供の頃から運動だけはできるつもりでしたから、「なぜあの人にできて、自分ができないんだろう」という思いがありました。
焦る自分に対して、先生方は「周りと比べない」ことを諭し続けてくれましたが、その時は理解できませんでした。
思えば当時の私はヨガに限らず、仕事では同業者と比べ、プライベートでは友人と比べ、周囲との比較の上で、その時の自分がどうなのかをジャッジ(判断)していました。
つまり、基準が自分(内)ではなく、周り(外)にあったのです。
人と比べることの無意味さに気づくことができたのは、それから大分経ってからのことです。
当時、全てのヨガのトレーニングで男性は私1人でしたが、そう気づいてからは、そんなことはどうでもよくなっていきました。
知れば知るほど素晴らしいヨガの智慧を、多くの方に伝えたい、という思いで一杯になっていました。
そしてある時、誰かの為にヨガを学び、ヨガの智慧を伝える準備をしているうちに、自分自身が大きく変わってきていることに気づいたのです。
いつしか自分と周りを比べることも、自然となくなっていました。
ヨガの学びが、人生の学びへ
仕事やプライベートにおける、良いことも悪いことも、上手くいったこともいかなかったことも、今思えば全てがヨガの学びでした。
そういった経験があったからこそ、後に大切なことに気づくことができたのだと今は思えます。
そして、ティーチャートレーニングの先生方は、ちゃんと私がそうやって気づいていけるように指導してくれていたのです。
当時、私を指導してくださった尊敬するヨガの先生方や経営者、スクール運営スタッフの皆さん、仲間たちとは、今もなお良い関係を築かせていただいています。