「エグゼクティブになる人の若々しい顔のつくり方」(著:野々下一美)より
エグゼクティブな男はメイクに注目している
ひと昔前のメンズコスメの商品といえば、ヘアケア、ヘアスタイリング、髭剃りなどのグルーミング、臭い対策商品が主流で、スキンケア商品はあったものの、ファンデーションなどのメイクアップ商品に至ってはほとんど見かけない状態でした。
現在でも、化粧品大手の売り上げ構成比は、スキンケアが少し伸びたぐらいで、それほど変化していない印象です。
ところが、インターネット販売に目を向けると全く違う世界が広がっていることに驚かれると思います。そこには、コンビニ商品とはけた違いにグレードが高く、精緻に細分化された商品群が並んでいます(ちなみに価格も桁違いです)。
今や男性化粧品市場は、コンビニやドラッグストアが扱う大手化粧品会社の大量生産された廉価な一般消費者向けの商品と、インターネット通販が扱い少量生産で高価格なコアマーケット向けの商品に二分されていると言ってもいいでしょう。
インターネット通販の門をくぐるのは、これまでの男性用コスメに飽き足らず、画一化された大量生産のものに嫌気を感じ、良質なものを求める人たちです。肌や髪に本当にいい天然成分が含まれ、長期間使用しても体にダメージを与えない高品質商品を探した末にたどり着くのです。
こうした波は今後さらに高まるでしょう。そこで今回はみなさんにも男のメイク事情を知っていただこうと思います。
職場で「嫌われない」ためには清潔であることが必須
従来、外見を意識したりおしゃれに気を遣うことは、仕事の能力とは関係のないことと思われていました。しかし、今はすっかり価値観が逆転しています。不潔な人や服装にだらしない人は論外ですが、身だしなみにこだわらない人やおしゃれのセンスが古い人、TPOをわきまえない人も、仕事ができるかどうか疑いの目で見られるようになりました。
特に2000年代に入ったあたりから、「見た目」や「外見」が仕事の能力と同等に大事であるとされる風潮があります。ここには仕事場や社会における「女性原理」の浸透があるといえるでしょう。
この女性原理の浸透により、当然、今日的な「一流の男」や「エグゼクティブ」の定義も変わらざるを得ません。専門分野で力をいかんなく発揮する能力が一流を裏付けていた時代から、専門力にプラスして関係調整力が求められる時代に変わったのです。
関係調整力とはコミュニケーション、そしてもっと直截的な言い方をすれば、「嫌われない力」とも表現できます。今日では、どんなに専門能力が高くても、第三者からシャットアウトされたら能力を発揮できないからです。
2012年にマクロミルが男性向けに行ったアンケート「男性の見だしなみに関する調査」によれば、「人からどんな人物に見られないですか」という質問に対してすべての世代で「清潔感がある人」が1位でした。2位に「礼儀正しい人」が入っています。これは“まずは嫌われないことが大事”という意識が読み取れるアンケート結果だと言えるでしょう。
ちなみにBeauty総研の調査では、女性比率が5割以上の職場にいた男性は、女性比率が2割以下の男性に比べて、スキンケアへの関心度が30%も増えるそうです。
エグゼクティブは顔のつくり方(スキンケア)にも手を抜かない
「第一印象が決め手」「外見が大事」と言われる割には、男性のスキンケアに関する知識は驚くほど貧弱です。
そんな中で、スキンケアに手を抜かず、メイクにも挑戦している男性は、今風の言葉でいえば「意識が高い」人と言えるでしょう。その意識の高さは、かつてであればナルシストと見られたかもしれませんが、いまは好感を持って歓迎されています。
自分の身だしなみに気を遣う人は、周囲や仕事の質そのものにも気を遣うであると評価されます。実際、身だしなみに気を遣わない人が周囲にも気を遣わないケースを、女性は嫌というほど見てきているのです。
上記のように嫌われない外見を保つため、男性のスキンケアも必須の時代となりました。しかし男性の肌質は女性のそれと大きく違います。男性が美しくあるためには、男性の肌質に即した正しい知識や正しい化粧品選びが不可欠なのです。そのことを覚えておきましょう。
また、日々の習慣の大切さも忘れてはいけません。長期間にわたるダメージの蓄積が、いかに肌に悪い影響を及ぼすか、男性はこれまであまりにも無頓着すぎました。これを機に、自分の食生活を習慣を少しでも見直してみてほしいです。
そして時代はジェンダーフリーへ
いまや草食系男子の出現がいい例であるように、ジェンダーフリーの名のもとに性差の概念が著しく変わろうとしてきています。いまや、ヘアスタイルを気にしない男性は皆無となり、男性専用のエステサロンさえ珍しくありません。
人は男女差を意識するより、男女の垣根を取り払って互いに協調できる関係性を理想としたライフスタイルを求め始めています。男性が化粧を敬遠していたのは、歴史を通じてたかだか150年しかありません。
今後、スキンケアやメイクも含めた男性の身だしなみの進化がどういう形をとるにせよ、もう後戻りをすることはないことだけは確かでしょう。なぜなら、美しさの追及は、男も女も時代も超えた人間が内包する普遍的な欲求だからです。
一味違う男になるなら、今がチャンス
男性が職場で本来の能力を発揮するためには、以上のように「清潔で嫌われない人」でいることが必須の時代です。
これはすでに新しい波として、ますます広がっていくことでしょう。ですから「男がスキンケアなんて」「メイクなんて恥ずかしい」という古い考えは捨て去って、デキる男であるためにその波に積極的に乗っていきましょう。今、あなたが変わればまわりの出遅れている人たちから、一歩抜き出るチャンス。
一味違う男になるために、ぜひスキンケア・メイクの世界に飛び込んでください。
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