「はたらく人のコンディショニング事典」(著:岩崎一郎、松村和夏、渡部卓)より
責任感の強さはストレスにつながる
「責任感の強い人」というと一般的には褒め言葉を指しますが、心の面から考えた場合、一概に良いことと言いきれるものではありません。責任感の強さは時にはストレスにつながってしまいます。
責任感が強すぎると、仕事でもプライベートでも、何か事件が起こると「自分のせいだ」「あのとき自分がこうしていれば」などと必要以上に自分を責めてしまう傾向があるからです。
自分で自分に緊張状態を強いる機会が多いわけですから、当然、他の人に比べてストレス量が増え心も折れやすくなります。
責任感のハードルを下げてストレスを減らそう
このような自責傾向の強い人の問題点は、まず第一に、常に自分に完璧を求めてしまうことにあります。
たとえば取引先へのプレゼンで部下がミスをしたとき、普通なら、部下の力や運が及ばなかったと解釈するところを、「資料作りの過程でアドバイスを求められたときに、もっと親身になって詳しく教えていたら」と自分の落ち度にすり替えてしまう。
その責任感の強さゆえに、自分には関係のないことまでひっくるめて何かにつけ自分を責めてしまうのです。そのようなことが続くと、どうしてもストレスが溜まってしまいます。
解決策としては、責任感のハードルを下げること。
目安としては 50 %減を目指しましょう。
今まで強い責任感で仕事をし、周囲と関わってきた人のハードルは、他の人に比べるなら120%ほどの高さだったはずです。
それを半減させたところで 70 %の高さはキープされます。
責任感の強い人のことですから、「そんなに低くしたら迷惑がかかる」という声が上がるかもしれません。
70 %にしたところで誰にも迷惑はかからないし、誰も困らないはずですが、そんな場合は「ま、いっか」「こんなこともあるさ」「大丈夫」といった言葉を口癖にしてみてください。
1人の評価を真に受けない
もう1つの問題点は、人からの評価を鵜呑みにしてしまうこと。
仕事でダメ出しをされると必要以上に落ち込んでしまうのは、自分という人間そのものが否定されている気がするからでしょう。
でも考えてみてください。仕事と人格、仕事とその人の価値観は無関係です。
仕事でダメ出しをされたら、ただその仕事のやり方を変えればいいのです。
他人の評価を真に受けてしまうというのは、裏を返せば、人の意見に耳を傾けることのできる素直な人。
社会生活を送るうえでも大切な資質です。
しかし、1つの物事に対する感じ方、反応、考え方は人それぞれ。
あなたに対する評価も十人十色、 10 人いれば 10 通りの評価、海外に出れば、それは100通りにもなるでしょう。
色々な違いを受け入れることこそが最重要になります。
上司など特定の一個人からの評価をいちいち全面で受け止めて気にかけていたらキリがないですし、他人の意見に縛られ振り回されて生きるのはストレスが溜まり、ただただ苦しいだけです。
「7割」を期待しよう
責任感を持つことはよいことですが、過度な責任感はストレスの原因となり、自分を苦しめることになります。
自分に完璧を求めすぎず、他人の評価を真に受けすぎないこと。
まずは、自分に対する責任感も他人からの評価も7割の期待をもって過ごすことをおすすめします。
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