食事に集中するプログラム、マインドフル・イーティングを紹介します。
まずは、日常を振り返ってみましょう。
惰性で食べたり、無関心のままに食べたり、目前のお皿以外のものに目が奪われたまま食べたりすることが、あなたにもあるのではないでしょうか。
しかし食事は味覚や視覚、嗅覚、そして胃や体温など、体の内側からの感覚などの刺激が、実にたくさんあるのです。ですから、マインドフルネスプログラムとしては、最適といえるでしょう。
実践に移りましょう。
まずは姿勢を整えて、三呼吸ほど、今あなたが置かれている心身を確認します。もしかしたら「早く食べたい」という気持ちが出てきているかもしれませんが、それも含めて、自分の状態を確認します。
目を開けて眼の前の食事を眺めます。入ってくる色や形、匂いに意識を向けましょう。そして、一つの食材をピックアップして、鼻に近づけて匂いをかいでみましょう。
どんな匂いがするか、自分はどう感じているかを確認します。
目でその食材の色や形を改めてよく見てみます。まるで初めてその食材と出会ったかのように、好奇心や興味心を持ちながら観察してみましょう。
それから、唇に食材をそっと軽く触れさせて、唇からの感覚に意識を向けてみましょう。
その後、そっと口の中に運びます。すぐに噛まずに、舌に触れる感覚を感じながら、食材を転がしてみます。硬さや形を口の中でじっくりと感じます。唾液が出てくるかもしれませんが、それも感じます。
そっと奥歯で噛んでみます。一口目にどのような食材の変化があるかに意識を向けます。潰れる感覚や食材の汁が口の中に広がるかもしれません。
無意識的に噛み進めたくなるかもしれませんが、なるべくゆっくり、スローモーションのように、意識を常に口の中、食材にとどめて、グラデーション的に変わりゆく味や香り、食感を楽しみましょう。
一口一口、変化に気づきながら食べる

衝動的に飲み込みたくなることもあるでしょうが、その気持ちにも素直になりましょう。しかしここでも忍耐強く、衝動に巻き込まれないように口の中へ意識を向け続けます。
ある程度噛み進めたら、「飲み込みます」と自分の心の中で唱えてからゆっくりと飲み込み、喉元から胃のほうに落ちる感覚を受け取ります。
無意識的に次の一口にいきたくなる感覚があるかもしれませんが、それにも気づきましょう。
そして、いったんお腹の中に入った後の余韻を感じます。人によっては、お腹が暖かくなる感じや、胃の動きを感じ取ることがあるかもしれません。
二口目に進みます。そうして、食べ進めていると、同じ食べものでも味の強さに変化を感じたりします。また、お腹がいっぱいになってくると、満足感や血糖値が上がるような全身的な充足感を感じるかもしれません。
食事から受け取る感覚は複合的であり、一口一口で変化し続けます。
毎回の一口に気づきながら食べ進めましょう。
「今自分はどんな感覚を受け取っているかな?」「どんな味がしているだろう?」と自分に問いかけましょう。
たいてい、私たちは思い込みで料理を食べています。「これはおいしいに違いない」「こういう味に違いない」という思い込みが、本来の素材の味をゆがめてしまいます。
いったんその思い込みを取っ払って、初めて食べる食材・食事だと思って、向き合ってみてください。
同じ食材でも、甘いものもあればそうではないものもありますし、口の中でも味は一定ではありません。グラデーション的に変化してゆく感覚をただ受け取ってみましょう。
最後には、そこにある命に感謝しましょう。あなたが食べている食材のどれ一つとして、命がないものはありません。その食材の命は、その食材を育ててくれた人、その食材を運んできてくれた人、さまざまな人の手によって自分の命の一部となっていきます。
ただ、そこにある命たち、それによって生かされている自分の命を、その一口一口から感じてみましょう。
『ZEN、集中、マインドフルネス』(著:大竹 稽)より
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