オリジナルのルートマップをつくる
ランニング、ジョギングなどの時に、いつも決まったコースを走っていませんか?
記憶力を効果的に高めるためには、コースにバリエーションを持たせることが必要です。固定された同じコースばかり走るより、どんどん新しい道を開拓していった方が脳にとってはずっと刺激的だからです。
タクシー運転手の海馬
ロンドンに住む一般市民とタクシー運転手の海馬を比べると、タクシー運転手の海馬の方が神経細胞の数が多く、30年以上のベテランともなると一般市民より20%も増えていたという報告があります。
ロンドンという街は2万4000以上の道路が網の目のように張り巡らされていて、それを全部覚えるには2年以上かかると言われているほど複雑です。
その複雑な街を縦横無尽に走りながら新たなルートを開拓していくという行為が、彼らの海馬を刺激し強化しているのです。
新しいことに挑戦しよう
このように、毎日のように新しいことに挑戦する環境は記憶や見当識のトレーニングになり、海馬を鍛えてくれます。
家の近所や公園など、ひたすら同じコースを走るのもタイムを測るうえでは分かりやすくいいことですが、時には新しいコースを開拓することも大切です。
ルートマップをつくってみよう
そこでおすすめしたいのが、ルートマップをつくること。定期的に新しいコースを開拓し、そのたびにコースの詳細を記録していくというやり方です。次のような手順で行うのがいいでしょう。
①目的地だけを決めて自由に走ってみる
②走ったコースをあとで思い出してノートに記録する
③何度か繰り返して走ってみて、建っているビルやお店の情報など細部まで完璧に思い出して描けるようになるまでこれを繰り返す
④同じ要領で次のコースを開拓していく
走って、思い出して、そして記録する。この繰り返しが、記憶力のいいトレーニングになります。①であらかじめ地図上で新しいルートを計画し、その通りに走ってみるのもいいでしょう。
バリエーションを増やす
もしくは、同じコースでも反対側から走ってみるだけでも違いますし、出張や旅先に簡単なランニンググッズを持参するのも効果的です。いつも同じコースばかり走るのではなく、積極的にバリエーションをつけていくようにしましょう。
走りながら出会った人の顔を覚える
「顔と名前が一致しない」「見覚えはあるのに名前が思い出せない」という経験は誰しもあるものだと思います。しかし、人の顔と名前を覚えることがなぜこんなにも難しいのでしょうか。
それは、2つの情報、すなわち画像情報としての「顔」と文字情報としての「名前」を同時に記憶しておかなければならないから。相手を前にしても名前を思い出せないのは「顔」の画像情報に「名前」という文字情報が結びついていないからです。
記憶する時の瞬発力を鍛えよう
こうした事態をさけるには、普段走りながら出会った人の顔をおぼえるようにしておくといいでしょう。
・目が大きい
・鼻が通っている
・口角が上がっている
・どちらかといえば丸顔
・色白で肌が透き通っている
顔だけではありません。
・どんな服装をしているのか
・この人はいつもこの時間にここにいるな
・動きがゆったりしている
というように、出会う人の服装、その人にまつわるしぐさ、やエピソードなどをどんどん観察し記憶していくのです。
そうすることで、画像としてのサンプルが増えていきますし、目にしたものや人の特徴を瞬時に捉える能力も鍛えていけます。続ければ、名前を思い出せず冷や汗をかくというようなことも少なくなるはずです。
暗記のコツ
「エビングハウスの忘却曲線」をご存知でしょうか。意味のない文字列を記憶させ、その文字をいくつ思い出せるかを時間の経過とともに追って曲線化したものです。
ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウス氏の記憶実験によってわかったことですが、実験では20分後に覚えていた割合は58%、1時間後には44%、1日後には26%、1ヵ月後には21%と、どんどん下がっていくことが明確になりました。
走って記憶力アップ
つまり、人は時間とともにほとんどのことを忘れてしまう生き物なのです。しかし、覚えたことをそのままにせず、反復すると記憶できる割合は格段にアップすることも分かっています。
その反復の効果を高めるのが、走ることです。走ることで脳の学習メカニズムが強化され、記憶力が格段に上がるという研究報告はいくつもあります。ドイツで行われた調査では運動前よりも運動後の方が20%も単語を早く覚えられたという結果が報告されています。
TOEICなどの資格の勉強は、タイミングを気にせず漫然と行うのではなく、意識的にランニングなどで体を動かした後に行うようにすると、よりはかどります。
時間制限で集中力アップ
単純に暗記作業を行うときには、時間を区切るというのも有効です。10分~20分の時間制限を設けて、その間だけ覚えることに集中すると言うやり方です。
時間制限や目標を設けることで、そこに向かって集中力が最大限発揮できるという側面があります。逆に時間や目標を決めずに、だらだらと作業をしてしまうと集中力が低下しやすいので気をつけましょう。
オリジナルのロードマップを作ったり、すれ違う人の特徴を覚えることはどれもすぐに取り入れられる方法です。これらの方法で記憶力を鍛えましょう。
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