「お菓子もご飯もガマンしているのに痩せない」「体重計の数字に一喜一憂してしまう」「いつまでも自分に自信が持てない…」そんなダイエット迷子の女性たちを救うのは”筋トレ”!?
パーソナルトレーニングジム「ArCHON(アルコン)」代表、「ゆでたまん先生」こと石川高央氏は、「ダイエットにガマンはいらない!」と断言します。それはボディービルダーやアスリート、モデル、女優など含む8000人以上を指導してきた中で、ダイエットに人生を振り回され、「間違ったガマン」に苦しむ人を数多く見てきたから。
今回は「食べることが怖くてたまらない」という女性が健康的で美しい心とカラダを取り戻すまでのエピソードを、石川氏の著書『体重計なんて捨てちまえ!』からご紹介します。
チャーハンに落ちた涙—食べることを極度に恐れていた女の子の話—
体験コースを予約してやってきたその子は、一目で「あ、深刻な状況だな」とわかるような子でした。何しろものすごいガリガリ。服はぶかぶか、足なんか枝みたい。肌も荒れに荒れてるし、髪の毛もパサパサでツヤなんか一切ない。表情も暗くて、どんよりとしていました。
ArCHONでは、コースの最初にしっかりと時間を設けて、「どんなカラダになりたいか」「普段の食生活は」「カラダのどんなところが悩みなのか」「これまでのダイエット経験は」など、いろいろなことをカウンセリングするようにしているのですが……その子の場合、そのまま3時間ぐらい話を聞きました。
どんな家庭に生まれて、どんな風に育って、今はどんな会社で働いているのか——よほど会話に飢えていたのか、こちらはただうなずいているだけで延々と喋り続けるような子でした。
ご飯を食べることが怖くて怖くてたまらない
もともと太るのを恐れて食べるのに抵抗感があった上に、太ってるからという理由で彼氏にフラれたこと。別のジムで非常に厳しい食事制限のダイエットをした経験もあって、現在の体型になっていること。心療内科にかかっているけれど、お医者さんは薬を処方するだけで何もしてくれないと感じていること。今30キロ台だから、20キロ台まで体重を落としたいと思っていること。
そして、ご飯を食べることが怖くて怖くてたまらないということ。
それから体験コースを経て、その子が入会することが決まった時、私は「次の予約の時は、お腹を空かせてきてね」とリクエストしました。
ジムで待っていたのは「炊飯器」
1週間後にやってきたその子は、見るからに腹ペコでガス欠状態。それでも精神力が強いから、ジムまでやってこれちゃうんですね。
そこで私は、ジムに置いてある炊飯器のフタを開けました。ホカホカのご飯のいい匂いが漂う中、「中華が好きって言ってたよね。一緒に食べよう」って言って、その場でチャーハンと野菜炒めを作ってあげたんです。板前修業の経験が活きました(笑)。
もちろん「食べると太る」と思い込んでいるその子は、頑なに拒否します。だけど「代謝が上がるご飯だから大丈夫!」とかなんとか言いくるめて、ようやく一口食べさせると、ポロッと涙をこぼして、がっつくように食べ始めたんです。しまいには「美味しい、美味しい」って泣きながら食べきってくれました。
美味しいって感じたってことは、心とカラダがそれを求めていたということ。
心とカラダに栄養を補給して、エネルギー満タンにしないとキレイにはなれないこと。
そういうことを食事のあとでゆっくりとわかりやすく伝えると、もともと賢い子だということもあって、すぐに理解してくれたようでした。
カラダを育てていく楽しさ
それからジムに来るたびに私が料理するのが定番になり、その子も素直に食べてくれるようになりました。
もちろん、食べるだけじゃなくて、トレーニングもスタート。ガリガリなのにトレーニングをさせるのは、その子に「運動してるんだから食べても大丈夫」っていう免罪符を与えるためと、「筋肉っていうのは重いんだから、体重が増えたって大丈夫」ってカラダで感じてもらうため。
そして、カラダを育てていく楽しさや、脳内麻薬が出るまで運動する楽しさを知ってもらうため。
「忙しくても疲れにくくなった!」筋トレで変わる心とカラダ
ジムにきたばかりの頃は筋力が低下している状態で、1キロのダンベルも持てないし、腕立て1回すらもできない状態だったのが、少しずつ変わっていきました。
ダンベルが2キロ、3キロと増え、腕立てが1回、2回と増えるたびに思いっきり褒めてあげると、その子も”できなかったことができるようになる快感”に目覚めたようで、ますますトレーニングに夢中になっていきました。
そして、1年で48キロまで体重が戻り、腕立てやスクワットも何十回とできるようになり……その頃には見た目が変わったのはもちろん、「会社が忙しくても疲れにくくなった」と、自分でも体調の変化を実感できるようでした。
それから、最初は自分のカラダが嫌いでフォームチェックの時も鏡を直視できなかったのが、その頃にはしっかりと見ることができるようになっていました。
今ではもうその子はウチを卒業していますが、トレーニングは続けているそうで、たまにLINEで近況やトレーニングについて報告してくれたりします。
楽しそうな彼女の話を聞いていると、本当にトレーナーになってよかったなと思えるんです。あと、板前修業もしておいてよかったなと(笑)
本名・石川高央(いしかわ・たかお)。パーソナルトレーナー/プライベートジムArCHON代表。
1986年生まれ。栃木県出身。15歳からボクシングを経験し、プロを目指すも、試合中の事故による網膜剥離のため18歳で引退し、スポーツトレーナーの専門学校に進学。大手トレーニングジムの指名No.1トレーナーを経て、2014年株式会社ArCHONを設立。
モデル・女優・ボディービルダー・アスリートなどを含む累計8000人以上のトレーニング指導を行い、「ゆでたまん先生」の愛称で親しまれ、根強いファンを持つ。またパーソナルトレーナーの養成も積極的に行い、数多くのトレーナーを世に輩出し続けている。
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体重計の数字に一喜一憂。
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頑張っているのに一向に痩せない。
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