MENTAL

呼吸で自然治癒力と集中力を高めよう

「なにもしていないのに調子がいい」(著:森田敦史)より

自分の呼吸状態をつかもう

Girl with eyes closed, enjoying outdoors

あなたは自分の呼吸をどこまで知っているでしょうか。息を吸って吐く、ただそれだけの呼吸には、あなたの体調や体質、仕事のパフォーマンスに関わる多くの情報が隠れています。自分の呼吸について、詳しく知ることが大切なのです。

ステップ1 自分の呼吸の幅をつかむ

まず息を鼻から吸えるだけ吸ってみます。ここでは胸式・腹式という意識はなくし、自然に吸うやり方で行ってください(自然呼吸法)。そしてもうこれ以上は吸えないというところまで吸ったならば、今度は口から「スーッ」と少しずつゆっくりと吐いていきましょう。もうこれ以上吐けないというところまで吐いてみます。吐き終わったならば、楽にしてください。

今、呼吸を行ってみてわかったのは、これ以上は吸えないという最大吸気点とこれ以上は吐けないという最大呼気点です。(吸気:吸う息のこと。呼気:吐く息のこと)

この呼吸幅があなたの呼吸のエリアということになります。ふだんここまで深呼吸をしたことがあるでしょうか。人間は意外に自分の呼吸の幅を知らないものなのです。

ステップ2 呼吸による膨らむ力としぼむ力をつかむ

今度はもう一度同じように息を鼻から吸っていきましょう。息を吸えば吸うほどに体の内側から外側に張るような力、つまり膨らむ力を感じることでしょう。吸いきったところは膨らむ力のピークです。

今度はゆっくりと口から「スーッ」と吐いていきます。体が膨らむ力の分だけ息は自然に出て行きます。少しずつ吐いていくと膨らむ力が弱くなっていき、どこかの時点で膨らむ力はなくなり、自然に息が吐けなくなります。それ以上吐こうとすると今度は吐くという意識が必要になってきますので、意識的に吐いていきます。あるところ以上吐いていくと下腹部がへこみ、体がしぼむような力を感じていくはずです。

吐けば吐くほどにそのしぼむ力は強くなり、吐ききったところがその力のピークです。今感じたのは呼吸による膨らむ力としぼむ力、、そしてその強弱となります。この力をいかに繊細に感じ取れるかが、自分の体を知る上で重要となります。

ステップ3 膨らむ力としぼむ力の切り替わり、中心をつかむ

息を最大吸気点まで吸い、吸いきったところからゆっくりと息を吐いていきます。膨らむ力が感じる分だけ息は自然に出て行きますので、少しずつ出していきます。吐いていくに従って膨らむ力は弱くなり、どこからの時点で膨らむ力を感じなくなり、自然に息が出ていかなくなり、それ以上吐こうとすると意図的に吐かなければなりません。そしてそれ以上吐くとしぼむ力が働き始めます。

そこの切り替わりポイントが中心です。精密に掴むというよりもなんとなくでOKです。

ステップ4 呼吸エリアを4分割する

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今度は呼吸エリアをさらに4分割してみましょう(呼吸エリア1~4)。さきほど中心をつかみましたので、さらにその半分をつかみます。まずは上半分の息を吸う方から始めましょう。

息を吸いきったところと、息が自然に出ていき膨らむ力を感じなくなったところの中間が上半分の中心です。感覚としては胸や肩に張る力を強く感じるところ(エリア1)、膨らむ力は感じるが胸や肩に張る力がそれほど感じないところ(エリア2)の境あたりです。

自然に出ていく息がなくなったところからほんの少し吐いてみましょう。するとしぼむ力が少しだけ働き、肩や胸、背中の力がふっと抜ける感覚がきます。そこがエリア3です。

そこからさらに吐いていくにつれて下腹部がへこむようなしぼられるような力が働き始め、そこから吐けば吐くほどに息を吸いたくなる欲求が強くなります。ここがエリア4です。この下腹部がへこむようなしぼられるような力が働き始めるところが呼吸の下半分、エリア3とエリア4の境です。

あたなたふだん、どの呼吸エリアで吸ったり吐いたりしているでしょうか。

これは極めて重要なことです。なぜならば、ふだんどのエリアで呼吸をしているのかが、その人の体調や体質に大きな影響を与えているからです。この4つのエリアの中で、体を痛めない、痛めても治りやすい自然治癒力が最も働くエリア、心が最も落ち着くエリアが存在するのです。

エリア4と考えるかもしれません。しかしそれは違います。息を吸いたいという欲求に耐えてまで、そこにいる人はほとんどいません。それではエリア1でしょうか。息を吸いきるくらいのところを中心に息を吸ったり吐いたりしたりしたならば、それはつらいことです。よってエリア1も違います。

人間にとって最も体に負担をかけない呼吸エリア、それはエリア3なのです。

ステップ5 呼吸エリア3の上限と下限をつかむ

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息を吸って膨らむ力を感じ、そこから自然に吐けていける最終地点、これ以上吐こうとすると意図的に吐かなければならないところを上限。つまり体が膨らむ力を感じなくなったところです。吐いていく息でお腹がへこむようなしぼられるような力が生まれる手前が下限となります。下限と上限の間の呼吸エリア3のことを呼吸のニュートラルと呼びます。

呼吸のニュートラルが持つ意味とは?

Japanese woman holding breath in a park

呼吸のニュートラルとは、体に負荷を与えず適度に体が緩むところ、精神状態も落ち着き、自然治癒力が最も働きやすい呼吸状態の場所です。日常生活で呼吸のニュートラルが実現できているかどうかが重要なのです。

深い瞑想状態や高度な集中力を発揮しているときは、この状態で呼吸をしていることが多いのです(スポーツなどは除く)

呼吸のニュートラルを中心に呼吸してみると多くの人はつらい、狭いと感じるかもしれません。体調が悪い人はつらくていられないのではないでしょうか。現代人はほとんど呼吸エリア2、あるいはエリア1に近いエリア2にいることが多いのです。

呼吸エリアが上がっている、呼吸の浅い人は筋肉の質も悪く、正常に伸び縮みしにくく、関節もぎこちない、自律神経も緊張方向にいくようになります。

最初は呼吸のニュートラルにいようとするとつらいかもしれません。しかし呼吸法をマスターした後にニュートラルの状態にいようとすると、楽にいられるようになるでしょう。

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