「自分を変える習慣力」(著:三浦将)より
とらえ方次第で世界は変わる
人の気分や感情は、起こっている事実に影響されますが、自分の持っている信念や価値観というものの方が、さらに強い決定要因となっています。つまり、自分の気分や感情は、自分自身のとらえ方が作り上げているとも言えるのです。これは、まわりからの影響よりもはるかに大きなものなのです。
あなたがその感情になるワケは?このことをよりリアルに感じるために、ビジネスシーンの中での例を見ていきましょう。
どのような感情になるか?
あなたは、新しい広告の案を提案する担当。多くの皆さんを前に、練りに練ったアイデアをプレゼンします。この2日はまともに寝ていません。緊張のあまり、のどが渇き、心臓の鼓動を強く感じます。一方、提案するアイデアには自信があります。市場調査も念入りに行い、顧客の感じていることもしっかりと把握したうえでの提案です。プレゼンは順調に進んでいると感じていました。そこで突然、あまり交流をもったことのない他部署の人間が手を挙げ、発言しました。
「その広告が具体的にどんな成果を上げるかが、今一つ明確に伝わってこない。」
さぁ、あなたはにはどんな感情が湧きあがってくるでしょうか?
①「ふざけるな、他部署のあなたに何が分かるというのだ。」
②「困ったな。もう他に手を挙げる人間がいないといいのにな。」
③「鋭いところをつかれたな、真剣に聞いてくれてるんだな。」
④「確かにそうだな。そこを明確にするとさらに良い案になるな。」
あなたに起こった感情はどれに近いものだったでしょうか?
とらえ方は人それぞれ
①は怒り
①の場合、あなたの感情にあるのは”怒り”です。この怒りの原因となった信念や価値観は様々ですが「反論を言う人は、自分に敵意のある人である」とか、「頑張ってやってきた人間には、まず尊重の態度を取るべきである」なども考えられます。
②は焦り
②の場合、あなたの感情にあるのは”焦り”です。この焦りの原因となった信念、価値観としては「完ぺきであることが大事」や「失敗すると取り戻せない」などが考えられます。これは、結構多くの人、特に多くの日本人が持っている価値観です。
③は喜び
③の場合、あなたの感情にあるのは”喜び”です。信じられない人もいるかもしれませんが、この場合、心の奥底にあるのは、この喜びなのです。この喜びをもたらした信念、価値観としては「仕事は楽しむ場である」などが考えられます。
④は感謝
④の場合、あなたの感情にあるのは”感謝”です。この感謝をもたらした信念、価値観は「いろいろな人の意見を頂くことは貴重なことである」や「人は完璧でないからこそ、お互い助け合う」などが考えられます。
①や②のような負の感情が起こりやすいとらえ方を「消極的なとらえ方」、③や④のように豊かな感情が起こりやすいとらえ方を「積極的なとらえ方」という言い方をします。
積極的なとらえ方
この場合の積極的とは、人生を作り上げていくために積極的なとらえ方かどうかということです。消極的とはその反対。消極的なとらえ方は、ネガティブな視点を多く含み、周りや世間の常識を基にした決めつけや、自分自身や周りの人間への信頼の薄さが表れており、さらには未来への明るい視点が少ないことに特徴があります。
一方、積極的なとらえ方は、ポジティブで、柔軟性があり、自分自身や周りへの信頼感が感じられ、未来への明るい視点を持ちます。積極的なとらえ方は、とても生産的なとらえ方です。そして、最大の特徴は「自分を超えたものにもベクトルが向いている」という点にあります。
思い込みをコントロール
とは言え、①や②の人からすると「そんなこと言われても、そういう風にとらえることが染みついているから、どうしようもないじゃないか」や「普通こういうふうにとらえるよね」などと言いたくなるかもしれません。しかし、信念や価値観は、それまでの経験によって生み出されたものであり、あなた自身ではありません。信念や価値観は心の習慣によって、より望ましい形にしていくことが可能なのです。
とらえ方は変えることができる
その消極的なとらえ方は、あなた自身ではなく、後天的につくられたものだから、後天的に作り変えることもできるということです。大事なことは、「信念や価値観は、事実とは違う」ということをちゃんと理解しておくことです。これらは良いも悪いも思い込みなのです。つまり、潜在意識の中にある思い込みをどうコントロールするか、ということが心を安定させ、日常レベルでストレスを軽減するキーなのです。
できることからやってみる
「現状がどうであるか」よりも「現状をどうとらえるか」の方が重要です。「社会がこうなってくれたら」とか、「あの人がもっと変わってくれたら」などという気持ちは誰にでも出てきがちです。しかし、環境を変えようとしたり、相手を変えようとしたりするのは難しいです。なぜなら、それは私たちのコントロール外にあることが多いからです。だから、まず自分ができることからやってみる。それは、自分自身のとらえ方、考え方を物事がうまく運ぶ方向に積極的に変えてみることです。
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自分を変える習慣力 (Business Life 1) (クロスメディア・パブリッシング) |