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今年7月に亡くなった司会者の大橋巨泉さん。’05年に胃がんがステージ2で見つかり、のちに転移。昨年まではテレビ出演やコラム寄稿もしていたが、10年あまりの闘病生活の末、力尽きた。
胃がんは、日本人がかかるがんとしては男性1位、女性3位と非常に多い。年に5万人近くが亡くなっている。
「胃がんは、胃の粘膜から発症するがんです。以前は塩分のとりすぎや喫煙が原因とされていましたが、最大の要因は(ヘリコバクター・)ピロリ菌です」
と、新宿大腸クリニックの後藤利夫先生。ピロリ菌は胃の中にすみついて、胃の粘膜にダメージを与える細菌。胃がんにかかる人のほとんどが感染しているという。
「衛生状態が悪かった時代に、井戸水などから感染していました。60代以上の8割がピロリ菌を持っているといわれています」
ピロリ菌の感染は免疫力の弱い、5歳以下の幼児期まで。大人になってからはほぼ感染しない。さらに’13年2月からピロリ菌の除菌治療に健康保険が適用されるようになったため、今後、胃がんが減少していくのは確実と見られている。
ピロリ菌の有無は吐く息からも調べられる
「ピロリ菌の除菌は1週間、抗生物質を飲み続けるだけ。除菌により胃がんにかかるリスクは確実に下げられます。ピロリ菌の有無を調べるのは簡単で、内視鏡で検査できます。吐く息からも調べられますが、ただ、先に内視鏡を受ける必要があります」
ピロリ菌の感染が長期にわたり持続すると胃粘膜の防御機能が低下していく。やがて胃粘膜の萎縮が起こり、消化性潰瘍をはじめさまざまな病気を引き起こす。胃がんは、その代表例だ。
「胃がんは初期の自覚症状に乏しく、バリウムでは見逃す恐れがある。発見にはやはり内視鏡検査がベストです。治療は、基本的には患部の切除を行います。早期の場合は、負担の軽い内視鏡手術が可能です。進行している場合、腹腔鏡手術か開腹手術をします」
悪性度が高く進行も早い『スキルス胃がん』のように、胃を全摘出しなくてはいけないケースもある。
「一般に胃の上部にできると全摘出、下のほうなら部分切除であることが多いです。5年生存率はステージ2で7割くらい、ステージ3で3~5割くらい。大腸がんより成績は悪いですが、ほかのがんと比較した場合は、“いい”といえると思います」
新宿大腸クリニック院長。無麻酔で、痛みを伴わない大腸内視鏡検査『水浸法』を開発。4万件以上の実績があり、すべて無事故。大腸がんの撲滅を願うベテラン医師。著書、メディア出演多数。
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