「デキる人は、ヨガしてる。」(著:石垣英俊、及川彩)より
気づかないうちに、視野が狭まっていませんか?
私は治療・施術を生業としているため、毎日お客様が「変わる瞬間」に立ち会っています。
施術が終わると、来院した時の浮かなかった表情は明るくなり、声のトーンもスイッチが切り替わったかのように変化する方がいらっしゃいます。
「あれ、こんなところに花があった?」
「へぇ、先生セミナーされてるんですね、知らなかったです」
来院した時は気がつかなかった受付の植物や置物にも気づくようになる。
まるで、見ている世界が広がり、違うものになったかのようです。
痛みや疲労は通常の感覚を失わせる
施術において、私がいつも心がけていることは次の2つです。
1つ目は、小さくてもいいから、お客様に感動を与えること。
「痛みがなくなった」
「治りそうな気がする」
「疲れがとれた」
施術後に、お客様からこういった言葉をいただけることが喜びです。
2つ目は、お客様が自分の体の感覚や心の状態に気づけるようなアプローチをすることです。
私たちは、長引く痛みや不調、疲労から、本来あるべき自分の感覚(ニュートラルな感覚)を失ってしまうことがあります。
例えば、心理的なストレスやネガティブな思考で溢れている時は、体の痛みや不調が現れやすく、そのことばかりに意識が集中しがちです。
その逆もあって、痛みや不調が長引いているときは、ネガティブな思考に陥りやすくなり、強い痛みが続くと、その人の性格まで変えてしまうこともあります。
このような時は、心も体も極端に過敏になっているか、鈍感になっているので、「自然な反応」ができません。
本来は数日で治るような怪我や不調も、自分の力で治癒に導けない状態です。
思考や言動も、無意識にその方らしくないものになってしまう。
そこに対して、私は、本来のニュートラルな感覚を取り戻していただけるようにアプローチをします。
お客様の体をみると、その方がバランスを崩しているかどうかがわかります。
例えばベッドに仰向けやうつ伏せで寝てもらうと、真っ直ぐになれない方がいます。
私が体勢を無理に直しても、元に戻ってしまうか、本人がしっくりきません。
片方の股関節だけが普段より大きく外に開いていることもよくあります。
私がその状態を指摘すると、お客様も目で見て気づくことはできますが、日常で自ら気づくことはほとんどないようです。
このような方に適切なアプローチを施すと、真っ直ぐ寝られるようになり、股関節の開きも改善します。
ちょっとしたことが、体調不良の兆候かも
他者に指摘されなくても、自ら気づくことができる空間認識や身体感覚の異常もあります。
例えば、何もないところで躓いたり、普段ぶつからない壁に繰り返し手をぶつけてしまった経験はありませんか。
ついつい地面や壁のせいにしてしまいがちですが、地面の凸凹だけが原因だということはほとんどありません。
こういった場合は自分の体調や疲労を疑ってみることをおすすめします。
自分の感覚がきちんと情報をキャッチできていない状態なのかもしれません。
他にも、普段と比べて舌が上手く回らなかったり(注意すべきこともあります)、いつも食べているものが美味しく感じられなかったり、洋服が皮膚にあたって不快に感じたり。
ちょっとしたことではありますが、これらは、実は心身のアンバランスを教えてくれています。
このような体からのシグナルを無視し続けてしまうと、私たちは体調を崩すか、対人関係でのコミュニケーションにも影響が出てしまいます。
ヨガの本質も、この本来あるべき自分の感覚(ニュートラルな感覚)を取り戻す、または維持することにあると、私は考えています。
体の声を聞いてみよう
いかがでしたか?
最近なんだかツイてない。ちょっと調子が悪い。
それ、実は体が不調を訴えているのかもしれません。
大事になる前に、一度立ち止まって自分の体の声を聞いてみましょう。
見ないフリをしていた体の状態に気づき、認めることが、生活向上への第一歩です。
『デキる人は、ヨガしてる。 (Business Life)』 (クロスメディア・パブリッシング) |