BUSINESS SKILL

リーダーに気配り力が必要な理由

 優れたリーダーは自分のことは横に置き、チームを元気にすることを考えています。周りへの気くばりから仕事を始めるのです。

 朝、オフィスに入ってきた時、リーダーは自分の仕事をさっさと始めるのではなく、いろんな人の顔を見たり、声をかけたりしながら周りのエネルギーを着火していきます。

 無理にその場を盛り上げていこうというのではなく、あくまでも、その場の状況を把握して、相手を見て声をかけるのです。これはオンラインミーティングでも同じです。画面越しに映る表情をみて声かけをします。

 メンバーが最高の状態で働けるようにするのがリーダーの役目ですが、このためには、周りのメンバーから「この人と一緒に働きたい」と思われることが必要となります。

 そして、そう思われるための要素が2つあります。

 1つは「この人みたいに仕事ができるようになりたい」という仕事上の尊敬を持たれること、もう1つは、「この人は自分を受け入れてくれている」という安心感をもたれることです。

 AI時代には後者が特に重要です。「自分を受け入れてくれている」と感じてもらうには、その人の失敗も成功も全部受け入れます。私はこの状態を「開いている」と称しています。

 自分のほうが上であるとして威圧的に接したり、説き伏せたり、相手に心のうちを読ませないようにしようと自分の心に鎧を着せていてはいけません。

 まずは自分を開くこと。ここが気くばりをするための原点になります。

求心力型マネジメントと
遠心力型マネジメント

 マネジメントのスタイルについても、大きく分けて2つあると考えています。求心力型と遠心力型です。

 求心力型は、上から下への指示命令、上が自分のやってもらいたいこと、指示したことを部下に実行してもらうマネジメントです。長らくこのスタイルが主流でした。

 遠心力型は、顧客との接点に最も近い人たちが、思う存分仕事ができるように環境を整えていくマネジメントです。これからは遠心力型が主流となるでしょう。

 長らく基本的に会社で決めたことをしっかり実行していくことが、会社としての事業の成功と考えられてきました。

 ところが、これは市場がさほど変わらない、その会社の事業を取り巻く環境も大きくは変わらないということが前提でした。あまり変化のない環境では、その仕事を長くやってきた人の経験に基づく判断が間違いありません。その会社の事業の経験が豊富な人の指揮命令に基づく運営(求心力型)でいくのが当然でした。

「とにかく従え」は通用しない

 しかし、その「当然」が、20年ほど前から当然でなくなっています。

 1995年のインターネットの解禁によって世の中に情報があふれ、そこからいろいろなリクエストが出てくるようになりました。市場は生き物のように変化し進化しています。いままでのように会社の会議室で過去の成功者たちが「ああだ、こうだ」と、事業方針を話していく時代ではなくなりました。この20年は移行期であったとも言えますが、AIの台頭により移行期は完全に終わりました。

 事業の根幹や方針を決めていくのは会社の会議室ではなく、顧客接点に最も近いところです。顧客接点に最も近いところで考え、トライして、その成功体験、失敗体験を組織内で共有する。PDCAの権限を、実行責任を持つ現場に移していくことが必要です。

 それがうまく回るようなマネジメントにしていかないと、会社は世の中の変化についていけなくなります。

 この遠心力型マネジメントを成功させるリーダーに必要なこと。それが気くばりです。すでにお話しした通り、マネジメントはメンバーが最高の状態で働けるようにすることです。

 しかし、百人百様で、いろいろな性格の人、いろいろな想いを持った人がいます。その中でそれぞれの現場でそれぞれの人が働きやすい環境をつくっていくわけですから、それ相当の気くばりが必要です。

 ひと昔前のような、「四の五の言わずに俺の言うことに従え」といったやり方は、通用しなくなっています。

 これから社会に出てくる若い人たちに活躍してもらうためにもリーダーには気くばりが必要なのです。

『リーダーの気配り』(著:柴田励司)より

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人間関係を良好にする傾聴スキル 6つのポイント

 


『リーダーの気配り』

(クロスメディア・パブリッシング)

 

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