「デキる人は、ヨガしてる。」(著:石垣英俊、及川彩)より
道徳的な日常生活の「実修」に専念する「カルマ・ヨーガ」は、ポーズや呼吸法、瞑想をしなくても行うことができる生き方のヨガといえます。
デキる人たちと接していると、こういった経典に基づくヨガの哲学を学んだかのように、実に毎日を自然体で過ごしているように見えます。
ここでは、ヨガ哲学が教えてくれる智慧と、「デキる人」たちの思考や習慣を、私たちなりの視点でヨガ的な習慣としてまとめました。
自ら動き成功を待て
「経済的な目標に到達できない人は、残念なことに何かいいことが現われるのを期待し、祈りながら生きていく」
作家のナポレオン・ヒルはこのようなことを綴っています。
もし人生に明確な目的があるのであれば、そのための準備をしながら自ら行動して待つべきです。
運が良い人と悪い人がいるとしたら、それは運を掴むために動いたかどうかで差が出るものかもしれません。
リオデジャネイロオリンピック体操男子団体日本代表であり金メダリストの白井健三選手がインタビューの中で、内村航平選手に対して聞かれた時の言葉が印象的でした。
「航平さんは、運がむくような練習をしていると思うんですよね」
まさに一流アスリート同士にしかわかりえないことだと思いますが、白井選手が内村選手の背中を見ながら感じているのは、きっと技術的なことだけではないはずです。
リアクティブではなく、プロアクティブであることが大切だということは、以前の記事でもお話しました。
プロアクティブな人は、モノゴトに取り組む姿勢が積極的で、意思をはっきりと示します。
「自分には準備ができている、その仕事をやらせてほしい」
そういった気持ちは、はっきりと相手に伝わるものです。
チャンスに気づく感覚を養うことも大切です。
もし過去に何度かタイミングを逃していたとしても悲観することはありません。
あなたに今必要な出来事が起こっているはずです。
そこに、あなたが気づき、自ら行動するかどうか、ということが大切です。
身近な例を挙げますが、混み合った電車でご高齢の方や妊婦さんを見かけたらあなたはどうしますか。
勇気を出して席を譲っても、「あと一駅だから」と、座っていただけないこともあります。
同僚や後輩のために良かれと思ってしたアドバイスが、かえって相手の機嫌を損ねてしまうことだってあるでしょう。
しかし、それでいいのです。
自分が誰かのためにこうしたいと思って行動したことに間違いなんてありません。
良い人ぶってると思われたくないから寝ているふりをしてみたり、嫌われたくないからとアドバイスしないのは、周りの人の評価を気にして、損得勘定しているということになります。
自らの意志で、行動できるかどうかが大切です。
自分の思った反応や結果が表れなくても、あなたのプロアクティブな態度、行動には、意味があります。
その行動によって「徳」を積み、すぐに目に見える結果が出なくても、きっと未来に繋がっていくはずです。
欲や向上心というものは時に大切な動機付けとなります。
しかし、目的としているものが、他人からの評価や快感といった自らの欲を満たすものの場合、自ら行動していても「徳」を積んでいるとはいえません。
時にがっついて見えてしまうこともあるでしょう。
「成功する人や、一流といわれる人は、人がやらないことをやっているんですよ。こういうことが人の役に立つと思ったり、アイデアが閃く人は沢山いるけど、それを実際に行動に移せる人はほんの一握りなんです。実際に、行動に移せる人のエネルギーはすごいですよね」
私が尊敬するお客様の1人で、玩具関連の会社を経営されているNさんの言葉です。
思っているだけでは何も成せません。
結果がどうなるか、誰かにどう思われるかばかりを考えていては、行動できません。
ただし、これだけは注意しておきます。自らの身を危険にさらしてまで正義感を振りかざしてはいけないということです。
働き過ぎて体を労わらないのもダメです。
健全な精神と肉体があってこそ、正しい判断と行動を成せるのですから。
『デキる人は、ヨガしてる。 (Business Life)』 (クロスメディア・パブリッシング) |