「一生太らない魔法の食欲鎮静術 食事瞑想のススメ」(著:松尾伊津香)より
7つのステップで、 いざ「味の向こう側」へ!
私が提唱する、きれいに痩せてリバウンドしないダイエット法「食事瞑想」は、普段の食事の”味わい方”を変えて食欲を鎮めるというものです。
舌先にものをあてる → 胃の感覚を研ぎ澄ます
「食事瞑想」ですべきことは、たったこれだけです。
詳しくはこちら→「「よく噛めば満腹になる」の落とし穴。太る食べグセ、原因は「舌」にあり!」
簡単&単純すぎて「えっ、それだけ?」と思った方や、「やってみたけどいまいちよくわからない」という方もいるかもしれません。
そんなときは、次の7つのステップを試してみてください。より確実に、スムーズに食事瞑想の効果を実感できるようになるための、プラスαのポイントです。
①最初はひとり、静かなところで
皆さんは、いつもどんな場所でどんな風に食事をしていますか?
朝は会社のデスクでパンをつまみ、ランチはスマホ片手にささっと済ませ、夕飯はテレビを見ながら何となく食べる……。
もし、こんな雑な食べ方をしているのなら、あなたはものすごく損をしています。
だって、本当の美味しさを知らずにただ飲み込んでいるだけなのですから。
味覚を研ぎ澄ますためには、ひとりで、そして静かなところで食べる時間をつくるようにしましょう。
毎食は無理でも、1日に1回くらいは、誰もいない、集中できる空間で食べることをお勧めします。
②立ち食いはNG!「座って食べる」が基本
立ち食いそば、急いでいるときにはたしかに便利ですが、食事瞑想ではあまりお勧めできません。
短時間でかきこむような食事スタイルは、味覚と向き合うのには向いていないからです。
そのようなスタイルでなければ、床に座って行っても、椅子に座って行っても、まったく問題ありません。
しっかり落ち着いて食べられる場所とタイミングを見つけましょう。
③「頬張る」は禁止!
慣れないうちは、舌を噛みやすくなります。
舌先の不自然な動きを観察するのもなかなか不思議な感覚で楽しいものですが、痛みは避けたいので、一度にたくさんの食べ物を口に入れないように気をつけましょう。
実際のところ、舌先で味わう食べ方をしようとすると、むしろあまり詰め込めなくなります。
「あのがっつく感じがいいのに!」
その快感は私もよ~くわかりますが、それこそ食欲がどんどんふくらんでいってしまいます。
頬張るという言葉は漢字の通り、口の奥 (ほっぺの部分) にたくさん詰め込むことですが、これを行うと刺激が大きいため、どんどん快感が増幅します。
そもそも口の中に食べ物を詰め込みすぎてしまうと、いろんな味が混ざってうまく味覚を研ぎ澄ますことができません。味わうこととは、かなり遠ざかってしまいます。
私の経験則では、小麦粉とチーズの組み合わせは頬張りやすいように感じます。たとえばハンバーガーやサンドイッチ、ピザなどは、食事瞑想をするにはあまり向いていません。そのように具材やトッピングを足す食事は上級者向けだと思ってください。
④素材の形がわかるかどうかで決める
「食事瞑想、やってみたいけど、何の食材で試したらいいのかわからない」という声をいただくこともあります。
基本的には何でやってもいいのですが、強いて言うなら、できるだけ「素材の形や色が残っているもの」を選ぶようにしてください。たとえば練り物ではなく、焼き魚やチキンなどがお勧めです。
それでもまだ迷う、選び方がわからないという方は、まずは和食を選ぶことをお勧めします。
和食には「引き立てる」という言葉があるように、調味料を上手に使って、素材の味やうまみを出しています。そのため、食材の味がはっきりとわかる料理が多く、食事瞑想に向いていることが多いように思います。
考えてみれば、昆布やいりこのお出汁のように、あのかすかな味を引き立たせるために塩の量を調整するなんてすごいですよね。私たち日本人はそういう繊細な感覚を受け取る力を、本来持っているのです。
ちなみに、品数に指定はありませんが、それぞれの食材の違いを感じるという意味では、3品くらいがベストです。お味噌汁やスープも1品として問題ありません。
⑤温度は 40~50 °Cをキープ
胃からの満足感を得られるようにするには、温度が大事だとお伝えしました。
詳しくはこちら→「満腹感の決め手は「ほかほか・とろとろ」?どか食い・むちゃ食いを防ぐ胃のトレーニングとは」
ただ、熱ければ熱いほどいいのかというと、そうではありません。熱すぎるものは、逆に満足感を喪失させてしまいます。
わかりやすいのは、フーフーしながら食べる激熱ラーメンや、ぐつぐつ煮えたぎったお鍋。想像しただけでよだれが出てきそうですが、これらを本当の意味で味わうのは、至難の難です。
なぜなら、熱すぎるものは味を飛ばすからです。ぜひ一度、冷めたラーメンのスープを飲んでみてください。とてもしょっぱくて味が濃いことがお分かりいただけるはずです。
同じように、冷めたお味噌汁は塩分をより濃く感じますし、お弁当はつくりたてより冷めた方が、味が濃くなります。熱すぎる食べ物は、人の舌を鈍感にさせる力を持っているのです。
それに、だいいち熱すぎると舌にのせることができません。舌をやけどしてしまうので、そもそも食事瞑想に向いていません。
食事瞑想では、舌にやさしい状態で口の中に食べ物を入れてあげることが大前提です。
これを踏まえて一度見直していただきたいのが、レンジの使い方です。
レンジは電磁波の振動によって、ものを急激に熱くできます。その結果、必要以上の高温になってしまうことがあるのです。とても便利ではありますが、レンジの機能に任せてボタンを押すと、せっかくの食材の味を殺すことになります。
ですから、レンジで温めるときはちゃんと加熱時間を設定し、できれば40~50 °C くらい(舌にのせることができる程度、温かいなと感じることができる程度の温度)で食べることをお勧めします。
食材の持つ味がしっかりと口の中に広がり、食事の楽しみも増やすことができるでしょう。
こんなふうにしっかり味わえば、熱々ではなくても、あなたの心は温まりますのでご安ください!
温かさの幸福感は、寒い中でほっこり飲むカフェラテのような イメージです。胃の中に温かいものが入っていくあの感覚こそ、幸せを運ぶ温度です。
くれぐれも、刺激的な温度には気をつけましょう。
⑥飲み物は、舌を丸めて飲む
飲み物の力は偉大です。人間は食べる回数より飲む回数のほうが圧倒的に多いですし、ぜひ飲み物でも食事瞑想を試してみていただきたいと思います。ちょっと飲み方を変えるだけで、自然と舌の動きを変えられるようになり、味も格段においしくなります。
ただし、食事瞑想のプロセスは、食べ物で行う場合とちょっと異なってきます。
食べ物は、奥のほうでひとかじりしたら、すぐに舌先に持っていきます。ただし飲み物の場合は、いきなりこれと同じことをしようとすると、液体が口から出そうになってしまいます。
ですから、飲み物をいったん口に含んだら、まずは「舌を丸めて」ください。その後で、口の中に入った飲み物を舌先にあてるようにします。こうすれば、こぼすことなく、飲み物の味をしっかり味わうことができます。
クライアントさんの中に、「飲み物を”味わう”というのは違和感がある」という方がいらっしゃいました。たしかに飲み物は意識しなければゴクゴクと一瞬で飲めてしまうもの。
でも、飲み物にだって、一つひとつにちゃんと味があります。
ただ単に喉を潤したいのなら、さ湯で十分です。飲み物の味も、しっかり感じてください。
雑に飲むから、無駄なカロリーが増えるのです。
⑦お酒は「だめゼッタイ」
お酒は食事瞑想には向いていません。食事瞑想に十分に慣れ、”味わう”感覚がよくわかるようになるまでは、できるだけ控えたほうがいいと思います。
理由は3つあります。
1:食欲増進効果
お酒自体に食欲増進効果があることです。
これは「食べたい」を増やす薬のようなもの。
そんな薬を飲みながら、同時に「食べたい」を抑えようとするのは、ちょっとおかしな話ですよね。
2:感覚器官が鈍感になるため
アルコールが入ると、感覚器官が鈍るためです。
味を感じたり、胃の温度や重さを感じたりすることが難しくなります。
3:アルコール分解には糖分が必要不可欠
「だめだと思っても、つい……」
「きまって〆の一杯が食べたくなる」
付き合いで飲む機会のあるビジネスマンにとって、飲んだ後のラーメン、牛丼がやめられないのは、永遠の悩み。自分の意志の弱さが原因だと思っているかもしれませんが、これは生理現象です。
お酒を飲んだ後に食べたくなるものに共通しているのは、「すべて炭水化物である」ということ。
アルコールの過剰摂取は体にとって毒なので、分解して排出させなければいけないのですが、アルコール分解には糖分が欠かせません。お酒をたくさん飲めば飲むほど、いつもよりたくさんの糖分が必要になります。
ところが、体にはそこまでの糖分がストックされていないので、「糖分をください!」という指令が出されます。だから、飲むと無性に麺類やごはんものが欲しくなる、というわけです。
実際に炭水化物を摂るとアルコール分解が進むため、次の日の二日酔いは軽減されます。
「ん? ということは結局、炭水化物は食べた方がいいの? 食べない方がいいの?」
迷うくらいなら、「最初から飲まない」がいいんです。
少なくとも、食事瞑想を行う際は飲まないでくださいね。
1日の中に「食事をしっかり味わう」時間を設けよう
食事瞑想を行う際の7つのステップをご紹介しました。
いずれも共通しているのは、「口に入れるもの1つ1つと丁寧に向き合っている」ということ。
忙しい現代人ほど食事は雑に済ませてしまいがちですが、1日の中に1回でいいので、目の前の食事とじっくり向き合い、本当の美味しさを噛みしめる時間をつくってみてはいかがでしょうか。
遠回りのように思えるかもしれませんが、これこそ”一生太らない、きれいな体”をキープするための近道なのです。
『一生太らない魔法の食欲鎮静術 食事瞑想のススメ (Business Life)』 (クロスメディア・パブリッシング) |