「一生太らない魔法の食欲鎮静術 食事瞑想のススメ」(著:松尾伊津香)より
間食や食べ過ぎがやめられないのは、「食べ方」が間違っているから
ダイエット中なのに、お菓子が食べたくなる。
「今、食べたら確実に太る」
「今までの努力が水の泡だ……」
そう思っているはずなのに、どうしても我慢できない。
そして、1つだけと思って開けたはずの大袋が、気づけば空になっている……。
こんなふうに間食や食べ過ぎがやめられないのは、ひとえに「食べ方」が間違っているからです。
ここで言う食べ方とは、食事内容を制限したり、食べる順番を変えるということではなく、もっと根本的なことです。
食べ方というより、「味わい方」といったほうが適切かもしれません。
「味わうって、よく噛むってことですか?」
お客様への指導を始めると、最初はいつもこんな質問をされます。
なるほど、「やせたいならよく噛みましょう。そうすれば少量でもお腹いっぱいになります」という話は有名です。
やせたいと思う方なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
たしかに噛むという行為は満腹中枢を刺激しますから、よく噛むことで満腹感が得られやすくなるのは本当です。
でも、よく噛もうとすることがよく味わおうとすることとイコールかというと、そうではありません。
よく噛むためには、噛むことを意識してはいけない
よく噛むと、ちょっとの量で満腹になれる。私はこのことにずっと疑問を抱いていました。
だって、よく噛むってすごく難しいのです。
実際に私も
「よし、よく噛もう。そうすればちょっとの量で満足できる」
と心に決めて、何度も「よく噛む」を試みました。
ところが、これが予想外に難しく、努力して続けようと思ってもなかなか続けられません。
そしてある時、ふと気がついたのです。
「よく噛もう」とすればするほど「よく噛めない」ということに。
そう、よく噛むためには、噛むことを意識してはいけません。
噛むという行為は、意識を向ければ向けるほど難しいようにできているのです。
特別な機械がいるわけではないし、難しい技術が必要なわけでもない。
それなのに、ほとんどの方がよく噛めていない。
これは意識するポイントを間違っているために起こります。
よく噛もうとするとき、普通は歯に意識がいくと思います。
でも、考えてみてください。
歯医者で歯を削るとき、痛いと思いますか?
歯は表面がエナメル質で覆われていて、神経が通っていません。
だから歯は削れるわけです。
つまり、歯そのものでは食べ物の味を受け取ることもできないということ。
それに、噛むということは「歯を動かす」というより「顎を動かす」ことに近いはずです。
いくら歯に意識を向けてよく噛もうと頑張ったところで、一向に噛む回数は増えません。
食欲を鎮める味わい方をするには、「舌先」を意識すること
「味わうって、よく噛むってことですか?」
冒頭の質問をされたら、私はこう答えます。
「いいえ、違います。本当に味わおうと思ったら、よく噛もうと意識するのではなく、まずは舌先に食べ物をあてることです」
舌先にものをあてて食べると、噛む回数が圧倒的に増えます。
それも1回目から確実に。
実際にコンサルティングをしている方のほぼ100%が、その効果を実感しています。
「よく噛んで」とは伝えていないのに、噛む回数が明らかに増え始めるのです。
食べ物を口に入れたら、まずはそれを舌先にあてること。
これが、食欲を鎮めるための最初のステップです。
太る食べグセ、やってませんか ?
食欲に悩む人は、そもそもの食べ方に肥満体質を招くクセがあります。
あなたはいつも、どんな風に食べていますか?
食べ物を入れたら、「すぐに飲み込んで」いませんか?
本物の味わい方とは舌先で食べること、
舌先に食べ物を当てて味覚に集中することだとお伝えしましたが、
リバウンドに苦しむ人たちは、無意識のうちにこれとは逆の「太る食べ方」をしています。
試しに、次のステップをやってみてください。
①唾を口の中に溜めて、舌の様子を観察してからごっくんと飲み込む。
(このとき、その舌の動きを覚えておく)
②今度は舌先を前歯で噛む。 舌先が動かないように固定し、そのまま唾を飲み込む。
①と②を比べてみると、②のほうが唾を飲み込みにくく感じませんでしたか?
そうなのです。
何かを飲み込むとき、私たちの舌は勝手に奥に引っ込むようにできています。
できているというより、これは小さい頃から何万回と行ってきたことで体に染み付いた無意識の動き。
とくに意識せずとも自動的にそうなってしまう、クセです。
食べ物を口に入れたらすべて飲み込む、
という無意識のクセが、
味わう機会を損ない、
食欲を暴走させる原因をつくっているのです。
舌先に食べ物をあてて食べるように意識することで、この悪しきクセを治すことができます。
なぜなら、舌先で食べ物を味わおうと意識することで、舌先は自然と前に伸びます。
すると舌の奥の部分も一緒に前に伸びるために、食べ物を飲み込むことができなくなるのです。
味覚を研ぎ澄ますための3ステップ
①食べ物を口に入れて奥歯で噛んだら、
②すぐに舌先の方に持っていく。
③そして、舌で味を感じながら食べ続ける。
決して歯の動きを止めろというのではありません。
「舌先に食べ物が当たっているな」ということを感じながら、食事を続けます。
実際にやってみると、ひとくちで食べ物の味がふわーっと広がっていくのがわかると思います。
だいたいの方が「今までと同じものを食べているはずなのに、ごはん1杯、米1粒が、格段においしく感じる!」と驚かれます。
舌先にものをあてて食べると、唾液と食べ物が混ざるため、味の濃さや旨味をより強く感じるなど、食事の度に新しい発見ができるようになるのです。
この工程がなく口の奥だけで食べ物を咀嚼していると、食べ物が唾液と混ざらないので、塊のまま飲み込むことになります。
固形物が喉を通過していく感覚が飲み込む快感を増大させ、食べることがやめられなくなってしまいます。
舌先で食べるときの注意点
舌先で食べることを続けると、また自然と奥歯の方に食べ物が戻ってきてしまいます。
これも長年の習慣で染み付いた食べ方のクセによるものです。
それをまた舌先に戻します。
3回くらいこれを繰り返し、食べ物の形がなくなってきたところで、舌の奥 (付け根) に食べ物を回して飲み込みます。
それまでは絶対に舌の奥に食べ物を置かないように気をつけてください。
でないと、うっかり飲み込みます。
このうっかり飲みをブロックしないことには、食欲を鎮静することはできません。
『一生太らない魔法の食欲鎮静術 食事瞑想のススメ (Business Life)』 (クロスメディア・パブリッシング) |