FOOD

肉をヘルシーに食べるには、金網バーベキュー!”おしゃれな鹿”に見える牛クドゥー、その味は?

12年間にわたり世界一周中の著者が、現地の健康&食べもの情報を毎週お届けします。

 

ひと言で自己紹介すると、海外軽自動車大陸横断夫婦です。

2年もかけてアフリカのお尻のあたりまでやって来ましたが、最近クラッチを踏むと、終末が近づいたような音がします。真剣にビビっています。

走行距離16万kmオーバーの過労死寸前のこの車で、あと7万kmは走らないと日本にたどり着けないわけでして、故障だけは勘弁してください、神さま。

軽自動車のパーツなんて、アフリカにはひとつも売ってないのです。

 

ナミビア→ボツワナ→ジンバブエ→ザンビアと移動し、再びボツワナに戻りまったりしています。

アフリカ動物基本セット「キリン、カバ、ゾウ、サイ、クロコダイル、ヒョウ、ライオン」を目で堪能したので、今度はお口で楽しみます。

野生動物の肉。命がけで鍛え抜かれた筋肉の味。オーガニック食品だけで育った、正真正銘のオーガニック。無添加、無農薬の天然肉です。

南部アフリカでは、ハンターが仕留めた野生動物の肉をゲームミートと呼びます。

地元民で賑わう肉屋で見つけたゲームミートは、クドゥー

クドゥーは日本の動物園に一頭もいないたいへん珍しい動物ですが、こちらではいつでも肉屋で売られているくらいの存在感です。

彼らです↓

 

ビクビクしながら池の水を飲むクドゥー(エトーシャ国立公園/ナミビア)

 

生前のクドゥーは、おしゃれです。

ぐるぐるりんと捻れた角はオスだけですが、胴体に下手ウマ絵タッチの雑な線が数本がひかれ、首の下には白い点々があります。点々は解体するときのアタリ線にしか見えませんが、だとしたら神さまもお茶目な仕事をするものですね。

どこから見ても立派な鹿ですが、学者の分類によると牛です。ウシ目のウシ科。

外見は鹿でも生物学的には牛という、自然界における掛け値なしの羊頭狗肉、クドゥー。

お味はいかがなものか、牛なのか鹿なのか、食べ比べするために牛肉を買い足しました。

 

左側の大きい肉が牛肉。右側がクドゥー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

牛肉は、腰からお尻にかけての赤身肉「Rump」。

日本円に換算すると、404gで369円。100g92円。豚バラより安いステーキ。

一方クドゥーは、天然ものだというのに家畜より安かったです。210gで117円。100g55円は、もはやお金を払うのがもったないくらいの激安。喜びを通り越して、やや不安になってきました。

野生動物だから「田中さんが愛情をこめて育てました!」とか、その手の手塩感が一切ありません。

衛生観念のないサファリで、どんなモノを食べたり触っていたのかわからない、病歴不明の肉。

ビニールの上からグニグニと肉を揉みながら、寄生虫かなんかにあたったらどんだけの腹痛に襲われるものかと思い出をまさぐり、レジに並びました。

(筆者の寄生虫体験談はこちら⇨「サナダムシダイエット」で50kg痩せる⁉︎怖いのは、死ぬほど痛いわけじゃないけれど死にたくなる痛み。

バーベキューの作法は、家のオーナーに習います。

ボツワナ流でいきたいところですが、あいにくオーナー一家はケープタウン出身なので南アフリカ流です。

南アフリカではバーベキューのことを「ブライー」と呼び、ブライーの仕事の7割は焚き火。

その辺で拾ってきた薪をいかにじっくりゆっくり焼き、炭に育て上げるかが勝負です。

 

広い庭の真ん中に、ブロック作りのバーベキュー台。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

炭になるまで、1時間半。

この待ち時間がおしゃべりタイムです。

日本では、焼く、食べる、飲む、喋るを同時にこなす慌ただしいバーベキューですが、こちらではワインを飲みながらの大人の時間。

 

ナミビアのキャンプ場で、南アフリカ人夫妻から頂いたワイン。ごちになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワインは南アフリカ産。こだわらないことにこだわる性分なので、葡萄にはこだわりませんがメルローです。そういえば以前、ワイン好きのフランス人は心筋梗塞で死ぬ人が少ないというワイン信奉が流行りました。少しでも健康になるならばと、体調が悪くてもワインを飲んだものです、当時。

都市伝説でした。

ワインを飲まなくても、日本人のほうが心筋梗塞の割合が少なくて長生きしているのですね。

焚き火の炎が消えて、遠赤外線系のいい感じの炭になりました。

 

筆者が日本でバーベキューしたときは、この頼りない炭を見たら、消えるんじゃないかって薪をバンバン足してました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肉を取り、金網に挟みます。

 

挟むタイプの金網は、けっこう重い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでオーナーから、ワンポイントレッスンが入りました。

「クドゥーは旨味が逃げやすいから、2分おきに金網をひっくり返しなさい」

ということは、牛肉も2分おきにひっくり返されるわけですが、その影響についてどのようにお考えでしょうか?

訊けませんでした。

「クドゥーはよく焼きなさい」

はい。野生の寄生虫ほど怖いものはないので、多少焦げるぐらいまで焼きます。

 

けっこうウェルダンですが、味より健康。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は金網でバーベキューをすると、フライパンで焼くより健康的です。

網から脂が落ちるので、口にする飽和脂肪酸が減るのです。

飽和脂肪酸は迷惑な働きをするものでして、食べ過ぎると血液中の某悪玉コレステロールが増えます。

悪玉を増やすだけならまだ我慢もできますが、某善玉コレステロールを減らすというダブル攻撃。動脈硬化や高血圧など、生活習慣病に悪影響を及ぼします。

筆者ほどシンプルマインドな頭脳だと、脂が落ちるほどに健康になるような、プラシーボ効果も期待できます。

クドゥーにも、セクシーな網目模様がつきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クドゥーの味は牛肉と似ていますが、少しジューシーさに欠け、なんとなくボソボソした食感。脂が乗っていないのか、そもそも少ないのか、落としすぎたのか。

ボツワナを訪れたら、ぜひゲームミートに挑戦してください。

浴びるほどステーキを食べてください。

ただ、ひとつだけ忠告すると、脂を抜いたとしても、肉の食べ過ぎはカラダに悪いというより、臭くなります。

腸内細菌を研究する辨野義己先生が、実験で40日間毎日1.5キロの牛肉を食べたら、体臭がキツくなり、皮膚が脂ぎって、便が臭くなったそうです。

これ、すごいわかります。

自慢じゃないですが、実験済みです。

アルゼンチンにいたころ、牛肉が安いってんで毎日ステーキを食べていたら、加齢臭がスーパーウルトラパワーアップ。

自分の体臭が独立した存在になり、誰かいるの?って、1日に幾度となく振り向いたくらいです。

浮浪者タイプの守護霊が、背中にいる感じ。

で、便。

これについては、表現力を勉強してから事細かくレポートいたします。

今日もボツワナは晴れ。

 
石澤義裕(いしざわ・よしひろ)
デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。

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