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ビタミンCはオレンジの6倍!?わがままなバオバブの木は、 栄養豊富なマルチタレント。

世界中をめぐる著者が、現地の健康&食べもの情報を毎週お届けします。

 

南部アフリカのボツワナにいます。
川沿いの家に住み、暇があれば川を眺め、ワニとカバを探しています。
なかなかいませんね〜。

 

アフリカに伝わる昔話をご紹介します。
むかしむかし、地球に木が1本しかなかったころ。
木は、何の不満もなく幸せに暮らしていました。

ある日、ヤシの木がやって来ました。
そのすらりとした背の高さを見て、
「高っ!俺、負けてるやん」と泣いて悔しがり、神様に「背を高くしてくれ!」とお願いします。

次に、美しい花を咲かせた火炎樹がやって来ます。
「わしもひと花咲かせたい!」と、神様に直談判。

フルーツを実らせたイチジクが現れたときもまた、速攻、神様に訴えます。
「実りある人生がほしいっ!」
ここで神様がブチっと切れました。
「なんべんもなんべんもうるさい奴め!」
こうしてやる!って叫びながら、わがままな木を根こそぎ引っこ抜いて、逆さまに地面にぶっさしたのです。
それが、バオバブの木。

 

バオバブの木は、セネガルの国のシンボルです。寿命は5,000年。ただし年輪はありません。

 

 

神様を怒らせてしまい、逆立ちさせられたバオバブの木。
無骨な風貌で愛想がありませんが、意外にマルチタレントです。

樹皮は家の建築材やロープとして使われ、煎じれば解熱剤になります。樹皮は剥がしても再生するエコフレンドリー。使い減りしません。

種からは油が獲れ、若葉は野菜として食べられます。

果実は、木の上で自然に乾燥してくれる天然ドライフルーツ。殻は、茶碗や楽器として重宝します。
栄養豊富な果実は、ビタミンCはオレンジの6倍、カルシウムは牛乳の2倍。
鉄分はモロヘイヤの4倍で、カリウムはバナナの6倍。
抗酸化力は、アサイーベリーの5倍もあります。
骨を丈夫にし、貧血を防ぎ、皮膚や粘膜を守ってくれるので、虚弱女子におススメです。

 

サン・テグジュペリの『星の王子さま』では、ほっとくと星を壊す悪い奴がバオバブの木。

 

 

また、乾季でも生き抜くために水を貯めます。大きな木なら10トン。1リットルのペットボトルで、1000本分の保水力。
あまりにも喉が渇いた象は、バオバブの木に穴を開けて水を吸うので、大自然の水筒です。

幹は直径が数メートルにも太くなり、中が空洞になることが多いので小屋として活躍します。
入り口さえ開けてしまえば、天然ツリーハウスの完成。
その昔オーストラリアでは、その小屋に囚人を収容。プリズンツリーと呼ばれています。

 

通称プリソンツリー。このなかに捕虜や囚人を閉じ込めた(オーストラリア)

 

バオバブの木は、建築材、薬、食べ物として生活に役立ちますが、暇なときはボルダリングの練習もできます。

 

木登りをしているのは、自転車旅のKちゃん(マダガスカル)

 

このレポートを書くにあたって、バオバブの実を探しました。
実際に食べてその味を詳細にご報告したかったのですが、すみません。
ローカルのボツワナ人に訊くと、誰もがスーパーマーケットで売っているというのですが、すべてのお店をあたりましたが、どこにも売ってないのです。
旬じゃないのか、たまたま在庫切れなのか、縁がないのか。

バオバブをボルダリングしているKちゃんによると、「セネガルのは酸味があって食べやすかったけれど、マダガスカルのは木の実って感じで美味しくはない」とのことでした。
ちなみにセネガルでは、バオバブの実を「猿のパン」と呼んでいます。

 

盆栽にできます。意外と簡単そうです。

 

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)
デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。

 

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