「一度袋を開けたらなくなるまでやめられない」「お腹いっぱいなのに何かほしくなる」「ダイエット中なのに甘いものが頭から離れない」……こんなふうに食欲に振り回されてしまうのは、あなたが「本当の味わい方」を知らないからかもしれません。プロボディデザイナーにして『一生太らない魔法の食欲鎮静術 食事瞑想のススメ(Business Life)』(クロスメディア・パブリッシング)著者の松尾伊津香氏に、一生太らないための食欲鎮静術についてお聞きしました。
松尾伊津香 Itsuka Matsuo
プロボディデザイナー、パーソナルトレーナー兼ヨガインストラクター
福岡県博多区出身。関西学院大学 文学部 総合心理化学科 卒業。アメリカ留学にてヨガ哲学やメディテーションを学び、帰国後は銀座でヨガインストラクターとして勤務。その後、全国50店舗以上展開のダイエット専門ジムShapes International の六本木本店店長兼スーパーバイザーに。
現在はプロボディデザイナーとしてきれいにやせるお手伝いをする傍ら、コンサルティングを通じて、食欲やリバウンドに苦しむ人たちの悩みと日々、向き合っている。自身も過食に苦しんだ経験から編み出した「食欲鎮静講座」をブログ「ヨガから学ぶダイエット」にて行い、好評を得ている。
「食べる」を変えないと一生痩せられない
——「食事瞑想」とは聞きなれない言葉ですが、どのような方法なのでしょうか?
「食事をおいしくいただく」ことで、「無理なく痩せて、一生太らない身体をつくる」ための方法です。「瞑想」というと小難しいとか、スピリチュアルな印象を受けるかもしれませんが、やることは「ただ、目の前の食事をおいしく味わう」――たったこれだけです。
「お腹いっぱい食べたい」「甘いものやお菓子など、好きなものを食べたい」……そんな気持ちを無理におさえつけるのは、つらいですよね。でも食事瞑想を始めれば、その必要はありません。つらい我慢や制限をせず、「腹八分目」でしっかり満足し、幸福感を感じることができます。
「そんな方法ありえない!」と思った方も多いでしょう。無理もありません。私はダイエットトレーナーとして、年齢・性別を問わず1000人以上の方々のダイエットをサポートしてきましたが、「ダイエットは我慢や制限を乗り越えてこそ」と思い込んでいる方がほとんどでした。ジョギング、ジム通い、糖質オフ、炭水化物抜き……世の中に出回っているダイエット方法は、なにかしらの我慢を強いられるものばかりですから、当然かもしれません。
けれど、そのようなダイエットに挑戦された方々のほとんどが、続けられなかったり、しばらくすると元の体重に戻ってしまう、あるいはダイエットする前以上に太ってしまう、といった失敗をされています。そして、「やり方が自分に合っていなかった」「今回は気合いが足りていなかった」「自分の甘えのせいだ」などと考え、また次のダイエット手法に飛びついては、同じ失敗を繰り返してしまいます。……かくいう私も、その一人でした。
――松尾さんご自身もダイエットに失敗したご経験があるのですか……?
はい。今でこそダイエットのプロとして働いていますが、小さい頃から人の何倍も強かった食欲に振り回されていました。朝食は3人前食べるのが当たり前でしたし、食事をしたあとに更にパスタを食べたりも……。食べ過ぎたら後悔し、ありとあらゆるダイエットに挑戦したり、ひたすら運動したりして、なかったことにしようとする。でも、この地獄からいつ解放されるんだ……と更に苦しむことになりました。しかも、年齢を重ねて代謝が落ちれば、いまよりもっともっとダイエットしなくちゃいけなくなる。このダイエットループに陥ってから、まず根本的な「食べる」ところから変えていかないといけないんだ、と気づいたんです。
食欲が暴走するのは、本物の味わい方を知らないから
——「食べる」を変えるとは、食事制限をするということではないのですか?
リバウンドしないダイエットに必要なのは、過度な食事制限ではないんです。大切なのは、「食べたい」という気持ちをコントロールする、つまり「食欲を鎮静する」ということ。食べても食べても満足できず、「食べたい」が暴走してしまうのは、「量」で満腹になろうとしているだけで、本当の意味で味わえていないからです。ダイエットの手法が自分に合っていないからでも、我慢や気合が足りないからでもありません。
まずは、「本物の味わい方」を知ってください。そして、おいしく食べてください。
そうすれば食欲は自然とおさまり、間食や食べ過ぎがなくなります。我慢も制限もなしで、きれいにやせられるうえに、二度と太ることはありません。
——具体的にはどのようなことを行うのですか?
まず、食べものを口に入れたら、自分の舌先で感じている味覚に集中すること。そして飲み込んだら、胃で感じている温かさと重みをしっかり受け取ること。たったこれだけなんです。