朝食をとらないことが習慣化してしまっている人は多いと思います。その理由は人さまざまだと思いますが、朝食を抜いている人の多くは「朝食を食べなくても特に支障はない」と感じているのではないでしょうか。
確かに朝食を食べないことが直接的な原因で病気になることはないし、朝お腹が減っていなければ無理に食べずに、昼や夜にたくさん食べれば栄養は足りるはずです。
ところが、朝食には栄養摂取以外にも大切な役割があります。
それは体内時計に関与するという役割。私たちの体には体内時計が備わっていて、太陽の光でリセットされることによって1日24時間の正確なリズムが刻まれています。
それと朝食とどんな関係があるのでしょうか?
その関係を理解してもらうために、体内時計についてもう少し詳しくお話ししましょう。
体内時計は臓器ごとに備わっている
朝日が網膜を刺激し、脳中枢部にある視交叉上角という部分に光の情報が届くと、セロトニンが分泌されはじめて私たちは目覚めます。そして、脳の視交叉上角にはメインの体内時計があります。
メイン?……ということは、他にも体内時計があるということになりますが、実は人体のすべての細胞には時計遺伝子が備わっており、臓器などの組織ごとに体内時計を持っています。しかも、これらの時計は固有のスケジュールを持ち、独自に時を刻んでいます。
固有のスケジュールを持った器官ごとの「サブの体内時計」が、それぞれ勝手な時を刻んでいたのでは、人体のホメオスターシス(恒常性)が保てません。朝が来てせっかく目覚めても、肝臓が「うちの時計はまだ夜ですから、もう少し寝させてもらいますよ」となったら困りますよね。
そこで、メインの体内時計(視交叉上角)が、サブの体内時計をチューニング(同調)して、一斉に朝のスタート地点を決めているのです。
1日の始まりを決める刺激となるのが太陽の光であるという話はしましたが、実はもう一つの刺激が存在します。もうわかりましたよね、それが朝食による刺激です。
朝食を抜くと体内時計が夜型に

朝食を毎日決まった時間に摂り、バランスよく1日3食を守っている人は、肝臓の体内時計が前倒しになります。朝食を摂らなければ、最初の食事の時間が遅くなる分、体内時計は後ろ倒しになります。
つまり、朝食抜きだと体内時計が夜型となり、夜の睡眠にも影響してくるわけです。体内時計が夜型になると睡眠のリズムが狂い、さらに太ります。
ダイエットのために朝食を抜いている人も多いと思いますが、実は逆効果といえるでしょう。
以前から、朝食を抜くと肥満やメタボリック症候群になりやすいという報告はあったのですが、その科学的根拠ははっきりしていませんでした。
しかし、2018年に名古屋大学が発表した研究論文には、その裏づけとなるようなデータが示されています。
名古屋大学で、朝食を与えるラットと朝食抜きのラット(4時間後に餌を与える)を比較する(運動量は同じ)という実験を行いました。その結果、朝食抜きのグループは体重が5グラム多く、脂質代謝に関わる肝臓の体内時計が乱れ、1日の体温上昇時間も短くなりました。朝食を抜いたことでエネルギー消費が押さえられたことが、体重増加につながったと考えられます。
朝食抜きは肥満やメタボの原因となり、さまざまな生活習慣病の引き金となります。さらに夜型の睡眠リズムになることを考え合わせれば、よいことは一つもありません。
『病気にならないカラダを作る健康な数値』(著:猪俣武範)より
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