あなたは1日にどれくらいの時間座っていますか?
WHOの報告(2011年)によれば、座りすぎの生活は、肥満、糖尿病、高血圧、がんなどのリスクへとつながり、世界で年間200万人の死因となっています。
この報告以降、世界各国では「座りすぎ」が健康に及ぼす影響についての研究が進んでいます。肥満、糖尿病という国民病が深刻なオーストラリアでも「座りすぎ」の研究が進んでいて、シドニー大学を中心とした研究機関では、世界20カ国の成人を対象に平日の座位時間についての調査が行われました(2011年)。
なんと、日本がサウジアラビアと並んで堂々の第1位です。20カ国の平均値をとると5時間になりますが、日本はそれを上回る7時間となっています。「いやあ、私はもっと長時間座っていますよ」という方も結構多いのではないでしょうか。
長時間座り続けることの弊害は、何より血流を悪くすることです。座っていれば、足の太ももやふくらはぎは動かないまま。
特にふくらはぎには、歩くことで心臓に血液を戻す重要な役割があります(第二の心臓)。足の筋肉が使われず、血流が滞ってくると血栓ができやすくなり、さまざまな血管トラブルの原因となります。
また、血流は全身に酸素と栄養というエネルギー源を流通させているわけですから、エネルギー不足が細胞を劣化させ、体中の臓器に弊害が及んでしまいます。足の筋肉が使われないことも、代謝などに影響して血糖値やコレステロール値に問題が生じます。
以上のことから、座りすぎがさまざまな生活習慣病の原因となることはよく理解できるのではないでしょうか。
意識的に立つ習慣を

座りすぎは、腰痛や肩こり、倦怠感、うつ状態といったマイナートラブルにもつながります。このような「会社を休むほどでもない不調」のことをプレゼンティーイズム(疾病就業)と言いますが、プレゼンティ―イズムによる生産性低下コストが近年大きな問題となっています。
企業の従業員にかかる健康関連の総コストを分析すると、医療費・薬剤費といった直接費用は4分の1ほど、残り4分の3のほとんどを、腰痛などのマイナートラブルによるプレゼンティーイズムが占めています。アメリカでは、プレゼンティーイズムによって年間1500億ドル(約15兆円)の損失が出ているという試算があるほどで、世界中の企業が大きな課題と考え始めています。
しかし、いきなり「1日に座っている時間を3時間に減らせ」と言われても、これは現実的ではありません。「そんなの無理!」と答える人がほとんどでしょう。
オフィスワークの人であれば、勤務時間は座っていないと仕事になりません。最近では、スタンディング・デスクを導入する企業も増えてきましたが、立ちっぱなしも血流不足などの根本解決にはなりません(立っていた方が、動きやすいというメリットはあります)。
オフィスワーカーが現実的にできることは、少しずつでも座る時間を減らしていくことです。職場では、最低1時間に1度はデスクを離れましょう。
プリントアウトを取りに行ったり、お茶を買いに行ったり、トイレに行ったり、ちょっと立ち上がって体を伸ばすだけでも結構違います。座っている時に膝を上下運動させるのもいいでしょう。社内の移動はエレベータを使わず階段にする、帰りの電車では座らない、などなるべく座らない工夫、そして勤務時間以外での運動が、あなたの健康寿命を延ばしてくれるはずです。
『病気にならないカラダを作る健康な数値』(著:猪俣武範)より
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