世間にあふれる健康情報の中で、つねに人気を博しているテーマは「楽に痩せられる方法」、そして「長生きの秘訣」です。
マウントサイナイ医科大学、老年医学科で高齢者の診療にあたっている山田悠史医師は、大規模研究をもとに、長寿の要因についていくつかの重要なポイントを指摘しています。
ひとつは「寿命は遺伝子によって決まっているわけではない」という事実です。「長生きできるかどうかは、ある程度、遺伝子で決まっている」と考える人は少なくないでしょう。
これについて山田医師は「50歳まで生きるかどうかに、遺伝子はそれほど影響しないが、70歳になった人が、その後10年、20年と長生きをして90歳に到達できるかどうかについては遺伝子の影響がかなり大きい」としています。
ある研究では、デンマークの研究者が双子の寿命が近いかどうかを、一卵性双生児と二卵性双生児について比較した。もし遺伝子が強く関連するなら、遺伝子が同じ一卵性双生児のほうが、双子の寿命が近接するはずだという仮説をもとにした研究です。
結果は60歳未満では寿命は遺伝子の影響をほとんど受けず、60歳を超えると一卵性双生児の寿命が互いにより近づいていくことが確認されました。現在では、寿命を左右する要因として遺伝子はおよそ25%、あとの75%は生活習慣や環境によると理解されています。
もうひとつは「ややポッチャリ体型(BMI22~25)のほうが長生きする」。
『ランセット』に掲載された論文では、およそ1060万人を対象に13年以上におよぶデータを解析し、BMIと死亡リスクは強く相関していると明らかにしています。
BMIが低すぎても高すぎても死亡リスクは高くなり、BMI22~25のポッチャリ体型が、もっとも低いことがわかりました。
ただしこの研究では、同じBMIでも筋肉質の人と脂肪の多い人ではどのように異なるかといった点については調査されていないので、基本的な傾向としてとらえておきましょう。
エビデンスに支持された「地中海式食事法」

食事については「ベジタリアン食は健康によいが、ビーガン食は問題あり」としています。
肉や魚をとらないベジタリアン、さらに乳製品を含めて動物由来の食材・調味料を一切使わないビーガンの人々には、健康意識が高い人々が多いイメージがあります。しかしベジタリアンは比較的、健康状態が良好ですが、厳格なビーガンはビタミンB12など、野菜や果物だけでは摂取できない栄養素が欠乏するなど、健康に問題があると指摘されています。
エビデンスに支持されたお勧めの食事法としては「地中海式ダイエット(食事法)」が挙げられます。地中海式ダイエットは、オリーブオイル、緑黄色野菜、果物、きのこ類、豆類、ナッツ、穀類などを基本食材として毎日とり、魚介類、鶏肉、卵を週2回ほど、肉類は月に2~3回食べるというものです。
スペインの55~80歳の7400人を対象にした研究では、1日のうち1食以上を地中海式ダイエット食にするグループと、脂肪の量をやや制限した食事をとるグループで比較。5年にわたる追跡調査では、地中海式ダイエットを実践したグループは心臓病の発症率が低いことが明らかになりました。
山田医師はほかに、運動については「1日に歩く歩数が多いほど死亡率は低くなる」、睡眠については「1日7時間程度の睡眠をとる人はもっとも認知症のリスクが低い」など、運動、睡眠のポイントを、健康で長生きするための秘訣として挙げています。
やはり日常生活で、エビデンスに支持された正しい習慣をコツコツ続けることが重要だといえるでしょう。
『男のヘルスマネジメント大全』(著:石川 雅俊)より
<併せて読みたい>
![]() | 『男のヘルスマネジメント大全』 |
