世界中をめぐる著者が、現地の健康情報を毎週お届けします。
我が家に朗報です。
ナミビアの警察官は、決して賄賂を取りません。
非常に真面目で100%信用できると、地元民から「あっぱれ」をいただきました。
検問にカツアゲされる、ストレスフルなドライブは終わったのです。
やっと安心してハンドルを握れます。
不良警察官は面倒だが、生真面目もまた厄介。
日本の2.2倍もある広大なナミビア。
ニカウさんが出演した映画「ブッシュマン」の世界です。
走り出した初日、いきなり出くわした検問。
昨日までの我が家なら半べそをかいていたところですが、「あっぱれ」を頂戴した生真面目なナミビア警察なので、恐るるに足らず。
率先して運転免許証とパスポート、車両登録証を提示。丹田から溢れるような笑顔で挨拶したところ、自慢のスマイルは黙殺され、掘っ建て小屋に連れ込まれました。
はて?
なんの御用でございましょう?
机の前に立たされ、質問というより尋問に近い口調で、住所氏名年齢国籍を訊かれます。
なにやら大げさな書類を書き始めまして、最後の文字は500NAD!
罰金でしたっ!
罪状は、フロントガラスのひび割れ。
日本円にすると、4,500円。
郵便局払いなので、賄賂とかカツアゲの類ではなく本物です。
無駄口を一切叩かず、人情を拒み、言い訳の糸口すらつかめない高度な事務処理。
あっぱれです。
味を探る気になれない、おがしら付き。
ナミビアの名物に、モパネワームなるものがあります。
蛾の幼虫、つまり芋虫です。
芋虫の人生は意外に過酷。卵時代に40%以上が病原菌等にやられ、晴れて幼虫になってもウィルス感染で多くが死に、生き残りは鳥に狙われます。
厳しい自然の淘汰に生き抜いた運のいい奴だけが、南部アフリカの重要なタンパク源になります。
運気に満ちたパワーフードとも言えましょう。
芋虫は内臓類を取り出され、日に干すか、燻製にします。
くりくりとした目玉が残っている、おがしら付き。400年以上の歴史がある保存食です。
宿のお嬢レナは、ご馳走!っと叫び、歓喜のあまり推定100kgの立派なカラダを身もだえし、バリボリ喰らいます。
我らも食べてみました。目をつぶって。
ちょいとピリ辛。
味らしき味はないけれど、舌を動員して味を探る気にはなれません。
イケるとか、イケないとかの問題ではなく、さっさと喉元を過ぎてくれれば、それだけで幸い。
電子レンジで人肌に温めてみたところ、味がぐぐぐっと滲み出てきましたが、筆者のボキャブラリーでは語れません。
シシャモに似ているという噂があります。
芋虫成金を目指したくなる栄養!
見た目はグロい芋虫ですが、食料不足を解決する救世主と期待され、栄養に富んでいます。
炭水化物が少なく、タンパク質と食物繊維が豊富。
芋虫100gには14mgの亜鉛が含まれていて、35歳の女性が食べるなら、1日の摂取量の175%を補えます。
鉄分なら31mgが含まれ、摂取量の172%。
リンは、543mgで78%。
マグネシウムは、160mgで50%。
鉄分にいたっては、牛肉の5倍に相当する31mg。
牛肉の5倍ですよ!
こりゃとんでもない食料があったものだと、日本で芋虫を売れば金持ちになるに違いないと胸算用してみるわけです。
一応、オーガニックですし。意識高い系の人を狙って。
芋虫1匹が1~1.5gとすると、100gって言うと、えーと、66匹。
35歳の女性で、1日に芋虫66匹!
無茶ですわ~。
芋虫成金胸算用は一瞬にして諦めましたが、ひとつだけ勉強してほしいことがあります。
牛は10kgの草から、1kgしか肉がとれません。
モパネワームなら、3kgの葉で1kgがとれるのです。
しかも、タンパク質は牛肉の3倍。
コスパ9倍!
芋虫は、ステーキより地球に優しいのです。
以上、ナミビアよりお送りいたしました。
今日の晩飯は、豚肉です。
デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。