「デキる人は、ヨガしてる。」(著:石垣英俊、及川彩)より
ヨガをなぜ始め、続け、そして伝えるのか。「デキる人は、ヨガしてる。」の著者2名によって、ヨガのエキスパートにインタビューを行いました。
お話を伺った人:佐藤ゴウさん
IHTA 認定ヨガインストラクター講師。IHTA 理事。
―ヨガを始めたきっかけをおうかがいできますか。
最初は誘われて行ったんですよ。ヨガレッスンの招待チケットをいただいて。その時はピンと来ていなかったんですが、ヨガをしている人は口を揃えて「良い、良い」というし、そのチケットも1レッスン3000円分のものだというし、チケットの期限も近かったので、せっかくだから行ってみたんです。
初心者向けのクラスで、ヨガをしている最中はわけもわからず動いているだけだったのですが、終わった後に、体がなんだか温かくて、気分も開放的で、頭も冴えてて。風呂上がりでリラックスしているけど、冴えているような感覚ですね。更衣室に戻っても、良い映画を観た後のような余韻があって、しばらく着替えもせず、ぼーっと座っていましたね。
クラスからの帰りも、「なんか今日は良いことをしよう」という気分になっていて、エレベーターは電気を使うし、体にも良いから階段で下りたり。街に出ても人混みは凄いのですが、1人1人がちゃんと目的を持って生きている1人の人間として見えて。今まで人混みが嫌いだったんですが、それは人のことが嫌いだったり、人に興味がなかったんだ、と思えてきて。それから夕方になって、普段はそんなことしないのに、夕日が綺麗だなと思って見ていて。そうしてたら、ふと気がついたんですよ。自分は人が嫌いというより、人に評価されるのに怯えていたんじゃないかって。人の評価を気にしてばかりの人生だったんだって。それが30歳の時だったんですが。ヤバい、なんか間違えてた、と。そこからヨガにハマったんですよね。
―最初のヨガとの出会いから、劇的な体験をされたのですね。
ヨガを教えてくれた先生も良かったと思いますし、何より丁度自分の人生のタイミングと合っていたんでしょうね。できなかったポーズができるようになって嬉しいとか、ヨガをすることで健康になった、とかではなくて、僕は、ヨガとの最初の出会いが強烈で一気にハマった感じですね。
―そうだったんですね。佐藤先生はダンスをやられているので、フィジカル・コンディショニングの一環として、ヨガを始められたのだと思っていました。そうですよね、一般にはポーズをとることがヨガだと思われている方がまだまだ多いな、と私たちも思っています。
そうなんです。ポーズなんかとれなくて良いんですよ。僕も最初はヨガの先生の言うとおりに、なんか体を捻じったり、呼吸をしていたりしただけでした。それでも、十分にヨガの効果を感じることができました。ただ、やっぱり仕事とか、家庭のこととかをしていると、時間の経過と共に、ヨガをした後のパキッとしたマインドって、段々隠れてきてしまうんですよね。
だから、これは毎日した方が良いなと思い、朝、仕事の前にヨガをするようにしました。ヨガをしてから仕事に行くと、体も頭も軽くて、パフォーマンスも見違えたものになるんですよね。後輩からも「今日調子良さそうですね」と言われたりして。その後輩には「君もヨガした方がいいよ」と言ってました(笑)。
でも、「俺、体固いんで」とか言うんですよね。「ゴウさんはダンスしてて、体柔らかいから」とかね。そんなの全然関係ないのに、って。ダンスは昔からやっていたんですが、それもダンスをやったら楽しいし、開放されるし、僕のパフォーマンスを見て「自分も頑張ろうと思いました」とか、喜んでもらえるのも嬉しくて、皆がダンスをやったら良いのに、と思っていたから続けていたんですよね。それが今はヨガになった感じです。ただ、先ほども少し話しましたが、ヨガをした後の状態って段々薄くなってきてしまうので、習慣にすることが大事です。呼吸法とか、ちょっとした座り方だけでもできますから。
―そうですね。ご自身で意識されている、日常生活でできるヨガ的な習慣はありますでしょうか。
良いことをしよう、ということですかね。困っている人がいたら、声を掛けるようにしていますね。している、というよりは、してあげたい、という感じです。そうすると慌てなくなるし、ヨガをした後のような良いマインドでいられるんですよね。あとは、掃除もそうですね。特にトイレ掃除ですね。
―佐藤先生は「男ヨガ」を主宰されていますが、それはどのような経緯で始められたのでしょうか。
やっぱり、男性にはヨガは「女性がやるもの」という意識があると思うんですよね。恥ずかしいというか。だから、男ヨガを始めました。男性っていつまでも純粋な部分があって、超人になりたい、といった願望って大人になっても、どこかにあると思うんです。侍とか、忍者に憧れたりとかね。カッコいいじゃないですか。肉体的にも精神的にも、「強い」というのは。そこに到達するには修行をしなければいけない、という気持ちもあるんですよね。
男ヨガでは、それに近い体験を1時間の中でできれば良いなと思ってやっています。30分は休まず過酷に追い込んで、残りの30分は座って、呼吸を意識しながら瞑想をして。ヨガは武道のようなものだと思うんですよね。丹田式呼吸法は、ヨガの呼吸そのものですし、戦国武将は禅をやっていたんです。禅とは瞑想のことです。日本でも歴史的にも強い男たちは、ヨガ的なものを求めてたんです。
ヨガは先人達が築いて、後世に残してきた伝統的なものなので、きちんと理解して、実践すれば、必ずその恩恵は受けられます。30代後半とか40代とか、今ビジネスの最前線で戦っている方々に、まずは体験してもらいたいと思いますね。
―最後に、佐藤先生にとって一言でヨガとは何でしょうか。
人生を楽しむ方法ですね。
IHTA 認定ヨガインストラクター講師。IHTA 理事。日本各地で行われるヨガイベントにもメイン講師として参加し、各イベントにおいて会場定員数満員となる実績を持つ。さらにヨガ専門誌や女性誌をはじめとするメディアへの掲載実績も多数。ヨガ指導者養成カリキュラムの監修、コラムサイトへの掲載、男性限定ヨガプログラム「佐藤ゴウの男ヨガ」の普及など活動は多岐。現在は、YMC メディカルトレーナーズスクールにおいて、リラックスヨガ、ヴィンヤサヨガ、 メディテーション(瞑想指導)、ヨガ哲学、心理学等のクラスも担当し、心身の繊細な感覚を見つめる “ 心で感じるレッスン ” を展開している。
『デキる人は、ヨガしてる。 (Business Life)』 (クロスメディア・パブリッシング) |