「デキる人は、ヨガしてる。」(著:石垣英俊、及川彩)より
予防意識の低い日本
病気や体調不良に陥ってしまうと、パフォーマンスも落ちて、仕事の効率はおろか、関わる周りの方に負担をかけてしまうことになります。
そう考えると、病気や不調になってからどうこうするよりも、普段から体調管理を心掛けたいところです。
アメリカでは健康保険制度が日本と違い、病気になってしまうと選ぶ保険のタイプによっては、金銭的負担がかなり大きくなるともいいます。
そのため、ヨガやピラティスといった運動や、鍼灸やカイロプラクティック、マッサージなどの代替医療を利用することで、ヘルスケアを気遣う習慣が根付いているようです。
日本は長寿大国で健康意識が高まる一方、まだ欧米に比べるとそういった意識は低いといえるでしょう。
ヨガには、メディカルヨガをはじめ、ヨガセラピーなど、病気や健康維持、予防を目的としたものも数多くあります。
例えば肩こりや腰痛をはじめ、便秘症や頭痛、生理痛、不眠などに対するヨガの効果が知られています。他にも高血圧症の方の血圧が低下したという報告もあります。
しかし、理想的なのは、大きな病気や不調が表れる前に、未然に防ぐことです。中国医学でも、「未病先防」(病気になる前に防ぐ)や「未病治」(病気になる前の段階で治す)ということを大切にしています。
そのために、ヨガをエクササイズの一環として気持ちよく続けていくのも良いでしょう。
肩こり・腰痛に対するヨガ
普段健康管理をしていても、不調が生じてしまうことはあるものです。
ヨガには治癒力を高める効果も十分期待できます。
ただし、がむしゃらにポーズをとったり、沢山やればいいものではありません。
私のスタジオでも、「回数券を消化するため」「マンスリーチケットだから沢山クラスに出て元を取りたい」「痩せたい」などの理由から、1日に3本以上レッスンを受ける方もいらっしゃいます。
私はそのような方には言葉を選びながらアドバイスし、その意味を伝えるようにしています。
その時には伝わらなくても、何度か体に無理を強いるうちに、ほとんどの方が自分にとっての適量がわかるようになっていきます。
肩こりや腰痛といった、生活習慣が影響して症状が表れているものには、ヨガの効果が特に期待できます。
肩こりにはプラサリータ・パードッターナ・アーサナというポーズが特に効きます。
血圧が高い方や眩暈の症状がある方などは、後述する専門家に指導を仰いでから行ってください。
プラサリータ・パードッターナ・アーサナ
立位のポーズです。
両足を肩幅の2倍程度に開きます。
左右の足の小指が平行になるようにしましょう。
親指にもしっかりと体重を乗せておきます。
両手指を腰の後ろで組み、息を吸って背筋を伸ばしましょう。
この時、肘と肘を近づけ、肩甲骨を寄せ合うようにしますが、腰が反りやすいので注意をしてください。
吐く息と共に体を前に倒していきます。
背中が丸まりやすいので、臍を伸ばすように股関節で前屈することを意識して、顎を前に出しながら体を倒していきます。
腰の後ろで組んだ両手は肩と耳が近づいてしまわないことを注意しながら天井方向へ突き上げていきます。
そのまま呼吸を数回キープし、吸う息と共に上体を起こし戻ります。
戻る時も、腰を守るためにお腹に力を入れ、頭が遠くを通るように意識をしておくとよいでしょう。
このポーズでは、普段緊張しやすい首や肩回り、さらには肩甲骨と背骨の上の方を刺激することができます。
左右の肩甲骨が近づき、深い前屈が力をぬいた状態でできるようになると、股の間から見える景色が逆さまであることに気づくでしょう。
普段なかなかすることがないポーズですが、続けていくうちに肩こりが感じにくくなっていくはずです。
書籍やDVDを見てヨガをしても効果が得られなければ、お近くのスタジオを探してヨガの先生の指導を仰いでみてください。
『デキる人は、ヨガしてる。 (Business Life)』 (クロスメディア・パブリッシング) |