FOOD

死体が歩くベナン。 お腹が緩くなる硬水。肌荒れには軟水。

世界中をめぐる著者が、現地の健康情報を毎週お届けします。

 

アフリカを流れ流れて、はや半年。

西アフリカにおける、ちょっと変わったバーの作法をご紹介いたします。
コースターはコップの下ではなく上に置くのが、ご当地流です。
ビールの栓は、抜いたあともビンの上に置いたままにします。
地味ながら、ハエ対策です。

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日本人の鬼門、硬水。

西アフリカのやや東寄り、ベナンまでたどり着きました。
ここは映画やドラマでおなじみのゾンビ、生ける死体の起源「ブードゥ教」の発祥地です。
ブードゥ教は、布教をせず教義もない一種の民間信仰ですが、国教としているのがベナン。
こんな暑いところでゾンビに歩かれたら、そうとう臭そうです。
我が家のキャンプ場は、ブードゥ教の聖地からさほど離れていないビーチ。
ヤシの木が生い茂り、砂浜が続く漁村です。

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朝ともなると、漁師が船に乗り、制服の女子学生は落ちたヤシの実を拾いながら通学。
どうしてそこで?と声をかけたくなるようなビーチのど真ん中で、大便に勤しむ子供がいますが、青い空と碧い海。世界一気持ちがよいトイレかもしれません。
ただブツを片付けないので、残念ながら臭そうな地雷地帯。
筆者が村長になった暁には、浜辺脱糞禁止令を発令いたします。
日々アフリカの熱波にさらされて、身を絞らんばかりに汗をかいています。
それなのに、髪の毛はバサバサ。もうさほど多くはない髪だというのに、手櫛で指がひっかかるほど潤いがなく、キューティクルはどこへ逝ってしまったのでしょう。
そういえばシャンプーも石鹸も泡立ちが悪く、またもや臭い話で恐縮ですが、毎日下痢。
ひとつ前の食事を思い出せないほどに頭がボケてきたので、更年期障害かなにかを疑っていましたが、容疑者を特定しました。
水です。
硬水です。
軟水派の我々日本人にとって、外国でお目に掛かる硬水はちょっとした鬼門なのです。

味に違いが出るミネラル。

軟水と硬水の違いは、ナトリウムとカルシウムの割合です。
水1リットルの中に、120mg以上のカルシウムとマグネシウムが含まれていたら、硬水。それ以下なら軟水です。
日本の水は急峻な山から海まで一気に流れるのでミネラルが溶けにくく、軟水。ヨーロッパのように流れがゆっくりしていると、硬水になります。
ミネラルウォーターの硬水は、健康的なメリットがあります。
マグネシウムは便を柔らかくする作用があり、お通じがよくなります。これが筆者への副作用となっています。
カルシウムとマグネシウムは動脈硬化を予防し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを減らします。
一方、軟水は石鹸やシャンプーの泡立ちがよく、肌や髪に優しいのです。

硬水と軟水の違いは、健康だけではなく、料理の味を左右します。
硬水は、お米を多少固めに炊き上げ、カルシウムがでんぷんと結合するため、パスタを茹でると麺にコシが出ます。
また肉の臭みをとり、アクが出やすくなるので、煮込み料理に向いています。
硬水に多く含まれるマグネシウムは豆腐を硬くし、苦味があることから、和食にはあまり向きません。
日本茶やウィスキーの水割りは、軟水が適しています。

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要約すると、便秘でお悩みなら硬水を飲み、肌荒れや髪が気になるなら軟水。
肉を煮込むなら硬水で、出汁を使う和食なら軟水です。
ちなみに鍋などにこびりついている白い粉を塩素だろと知ったかぶって言う人がいますが、それは昨日までの筆者ですが、マグネシウムとカルシウムの成れの果てです。

たかが水ですが、1日にコップ5杯以上の水を飲むと、2杯以下の人より心臓病で死ぬ確率が41%も減るそうです。
水はあなどれません。
カラダの70%は水分で、地球の70%は海洋。
水の97.5%は海水。
飲める水は1%以下しかありません。
大事に飲みたいものです。
で、腹を下しているのですが。。。

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)
デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。

 

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