『明日に疲れを持ち越さないプロフェッショナルの仕事術』(著:渡部卓)より
残業を断れなくて、今日も定時に帰れない…
言いたいことが言えなくて、いつもストレスまみれ…
我慢に我慢を重ねるうち、ある日ついにキレてしまった…
そんなお疲れの方に朗報です。言いたいことをはっきりと言いながら、自分も周囲も気持ちよくいられる、魔法のようなスキルがあるのです。
感情と行動のズレがストレスの元
言いたいことをはっきりと言えないという状態は、心と行動が矛盾することによってストレスを抱えてしまっている状態です。
特に日本では、空気を読むことを要求されたり、職場の立場・役職への気兼ねから、自分の意見を表明できなかったりする場面が多々見られます。
仕事で手一杯なのに、追加の仕事を断れなかったり、能力を超えた仕事を引き受けざるを得なくなったりということは、よくあることですね。
言いたいことをはっきりと言うために必要なスキル
それに対して、アメリカでは「あなたはどう思う?」「あなたの意見を聞かせて欲しい」と言われることが多くあります。
自分の意見も他人の意見も、共に尊重されるべきものだという姿勢の現れで、余計なストレスのない、風通しのよい人間関係が築かれているのですね。
これが、自他尊重のコミュニケーション術「アサーション」で、適切な自己主張、あるいはさわやかな自己主張と訳されています。
率直な自分を表現できる技術「アサーション」とは?
アサーションとは、コミュニケーションスキルのひとつで、
「人は誰でも自分の意見や要求を表明する権利がある」との立場に基づく、適切な自己主張のことです。
お互いを尊重しながら率直に自己表現できることを目標に、「まず自分のことを考えるが、相手のことも配慮する」という、相互的な対人関係を念頭に置いています。
アメリカで1950年代に心理療法として開発されたアサーションは、対人関係に悩む人のためのカウンセリングやトレーニングに取り入れられてきました。
アサーションのトレーニングやスキルによって、「相手に気兼ねして、自分のことを言い出せない」、
あるいは「自分のことばかり考えて、相手のことを顧みない」といった、一方向的な対人関係を改善することができるのです。