12年間にわたり世界中をめぐっている著者が、現地の健康情報を毎週お届けします。
ボツワナを南下中です。
カラハリ砂漠に向かっています。陽射しが強くなってきました。頭皮の毛穴に、紫外線がめり込みます。脳天に剣山を置いたような倦怠感です。
ノーシャンプーで生え際の後退をストップ!?
2017年10月の記事「一生カラダを洗わない、世界一美しい民族。ナミビアで、No Pooに挑戦します!」で、石鹸とシャンプーを使わない宣言しました。
以降、お湯だけでカラダを洗ったところ、わずか1週間で加齢臭が浮浪者臭にバージョンアップ。方針変更は余儀なく、脇、股、足の3点だけは特別に石鹸を使ったものの、時すでに遅し。浮浪者臭が、獣臭に昇華。人としていかがなものかと思い、石鹸派に戻りました。
しかし頭はシャンプーを使わない、ノープーを続けています(ノープーは、No Shampooの略)。
日本では、湯シャンと呼ばれています。
タモリさんや福山雅治氏が実践していることで有名な洗髪法です。
シャンプー断ちしてから、3ヶ月経ちました。
鏡を覗くと福山くんが……、ってことはないのですが、手櫛をするとがっちりと手ごたえがあります。
もやしっ子と呼ばれた頼りなかった髪の毛に、再び反抗期です。
額の3の字、いわゆる頭髪最前線が後退せずに、土俵際で踏ん張っているのが頼もしい。
先日など、最前線から2cmもフライングして、額の真ん中に一本だけ毛が生えていたものです。この歳になって恥かきっ毛とは、いやはや面目ありません。春ですな。
シャンプーを使わないと、匂いや薄毛の原因になるのか
青春を取り戻しつつある髪の毛を守るために、余生はシャンプーなしで生きてゆく所存ですが、シャンプー派の言い分も受け止めておきましょう。
彼らの主張の第一義は、シャンプーを使わないと、毛穴に皮脂が詰まることです。
これが諸悪の根源だとアジるのです。
毛穴に詰まった皮脂が、さまざまなトラブルを引き起こします。
髪の毛の成長を妨げ、弱々しくなった毛が薄毛を招き、ひいては匂いの原因になります。
しかも皮脂が酸化すると、細胞にダメージが!
細胞にどんなダメージがあるのか詳細は不明でしたが、ハゲたくなければ、シャンプーにしとけ!ってことなのです。
皮脂は減らすから増える?
シャンプー派によると、皮脂が悪者になるわけですが、そんなに悪い奴なの、君?
皮脂は、必死に弁解します。
我々皮脂は、外敵から頭皮を守るガードマンです。
シャンプーのしすぎによって、我らガードマンが極端に減ると→皮脂が足りない→急いで補充だ→過剰供給になってしまった→あらら、ベタベタじゃん髪の毛、ってことになってしまう負のスパイラルです。
皮脂を減らすから、増えちゃうのです。←ここ重要です。
シャンプー被害は、我々皮脂だけじゃありません。
頭皮に住み着いている常在菌のバランスが崩れます。
悪玉菌が増えてしまいます。彼らは、匂いの原因です。
ですからみなさん、皮脂と常在菌を守るために、シャンプーはほどほどにしてほしいのです。
なんの保証もありませんが、実体験からお伝えします。ノープーにしていただければ、最初のうちこそは多少匂いやベタベタ感があるものの、やがてナチュラルな艶が出てきて、匂いが薄くなります。
髪も痛まず、抜け毛も減ることでしょう。
お湯だけでほとんどの汚れは落ちる
最後にひとつ付け加えますと、頭皮の毛穴は顔の穴より大きいので、そもそも皮脂は詰まりません。
シャンプー派の主張は、毛根から間違っているのです。
しかし、シャンプー派は叫びます!
「ワックスやジェルは、お湯だけじゃ落ちんじゃろ!」
そこんところは、
「40度のお湯ならば、通常の汚れの80%は落ちましょうぞ!」
という平行線になりまして、どんな整髪料だか知りませんが、好きで塗ったくっているのだから、そこんところは自己責任でお願いします。
いずれにしろシャンプー派の性根は、いわゆる商魂。
ノープー専用の泡なしクレンジングクリームなるものを開発する親切な企画力、どこまでも頭皮にお金を使わせる気です。そのクリームが一体薄毛にどんな効果があるものか、我が身を犠牲にしてでもレポートしたいものです。
ボツワナにありますかね、ノープーなんとか?
英語のPOOは「うんちをする」という動詞ですから、お店で訊くと殴られそうです。
砂漠の家のベランダにて。
あー、暑い。刺さるような太陽を頭皮で受け止めて。
デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。